ジェネラル
クラウドストレージのデータ移行を成功させるポイントとは?
企業のデジタルトランスフォーメーションが加速する中、クラウドストレージに蓄積されるデータ量は年々増加の一途をたどっています。しかしデータ量の増加に伴い、ストレージコストや転送料金が経営を圧迫するケースも少なくありません。
より高性能で、コスト効率の良いストレージプラットフォームへの移行は、企業の競争力を維持するための重要な経営判断といえるでしょう。
この記事では、クラウドストレージの移行が必要な理由から具体的な実施方法、そして効率的な移行を実現するソリューションまでを詳しく解説します。
クラウドストレージの移行を検討すべき理由
クラウドストレージの利用が当たり前となった現在、多くの企業が「このままでいいのか」という疑問を抱えています。実は、ストレージ市場の急速な進化により、より優れた選択肢が次々と登場しているのです。ここではクラウドストレージの移行を検討すべきタイミングと、その判断基準について解説します。
クラウドストレージ市場の変化と新たな選択肢
クラウドストレージ市場は急速に進化しており、「速い」「安い」「使いやすい」といった、より合理的なサービスが次々と登場しています。特に注目すべきは、従来のハイパースケーラーが提供するストレージサービスとは異なる料金体系を持つサービスの登場です。
従来型のサービスでは、容量課金に加えて、API利用料や下り転送料などの追加コストが発生することが一般的でした。これらの「隠れたコスト」は、データ量が増えるにつれて企業の財務に大きな影響を与えるようになっています。たとえば数百TBのデータを保有する企業では、月々の転送料金だけで数百万円に達することも珍しくありません。
移行を検討すべき3つのシグナル
企業がクラウドストレージの移行を真剣に検討すべきタイミングには、明確なシグナルがあります。
月額料金の急激な増加
→データ量が数百TBを超えると、ストレージ容量だけでなく、データアクセスのたびに膨大な追加料金が発生する
パフォーマンスの低下
→ビジネスの成長に伴い、現在のストレージプラットフォームでは十分なパフォーマンスが得られなくなる可能性がある
新しい技術要件への対応
→AI・機械学習など新しい技術を活用する際、技術要件の変化により現在のストレージでは対応できなくなる
上記のいずれかに該当する場合、クラウドストレージの移行を真剣に検討すべきです。
クラウドストレージの移行の課題と解決策
クラウドストレージの移行は、単なるデータのコピーではありません。企業の重要な資産であるデータを、安全かつ効率的に移行するためには、さまざまな課題を克服する必要があります。ここでは、移行プロジェクトで直面する典型的な課題と、それらを解決するためのアプローチを詳しく見ていきましょう。
従来の移行手法における課題
通常の手順でクラウドストレージの移行を実施しようとすると、企業は大きな壁に直面します。
最も大きな課題は時間的制約です。インターネット経由でのデータ転送は、数百TBのデータであれば何週間、場合によっては何ヶ月もかかることがあります。この間、ビジネスは停止できませんから、移行期間中に発生する差分・増分データの検知と同期という技術的に複雑な作業も必要になります。
さらに深刻なのがコスト負担です。既存クラウドからのデータ転送時に発生するAPI使用料や下り転送料は、データ量に比例して増大します。数百TBのデータ移行では、転送料金だけで数千万円に達することも珍しくありません。これはまさに「手切れ金」のような無駄なコストといえるでしょう。
移行コストの内訳と削減ポイント
クラウドストレージの移行にかかるコストを正確に把握することは、プロジェクトの成功に不可欠です。主なコスト要素には以下のようなものがあります。
人件費:移行計画の策定、実行、監視に必要な技術者の工数
転送料金:既存クラウドからのデータ転送にかかる下り転送料
機会コスト:移行期間中の業務効率低下による損失
リスク対策費:データ損失や業務停止に備えたバックアップ体制の構築
これらのコストを削減するためには、効率的な移行手法の選択が重要です。特に、転送料金と作業工数を同時に削減できる方法を選ぶことでトータルコストの大幅な圧縮が可能になります。
Wasabi Cloud Sync Managerによる効率的な移行の実現
従来の移行手法が抱える課題を解決するために開発されたのが、Wasabi Cloud Sync Managerです。このサービスは、企業によるクラウドストレージの移行を根本から変える画期的なアプローチを提供します。ここでは、その仕組みと具体的なメリットについて詳しく解説します。
閉域網を活用した高速転送の仕組み
Wasabi Cloud Sync Managerの最大の特徴は、Wasabiが所有する閉域網を利用したデータ転送です。通常のインターネット経由と比較して何倍も高速な転送を実現することで、大規模なデータ移行プロジェクトでも短期間で完了することが可能になります。
この高速転送は、単に時間を短縮するだけでなく、ビジネスへの影響を最小限に抑えるという重要な価値をもたらします。移行期間が短ければ短いほど、差分データの管理も簡単になり、データの整合性を保ちやすくなるのです。
移行プロセスの自動化とデータ整合性の確保
Wasabi Cloud Sync Managerでは、移行プロセスの多くが自動化されています。具体的な流れは以下の通りです。
環境準備:必要なWasabiストレージ容量を確保し、環境を整備
初期評価:お客様から移行対象のデータ容量を申告いただき、それに応じた見積もりを作成
高速転送:お客様からご連絡いただいた作業日程で、既存クラウドとWasabi間の高速データ転送を実施
整合性チェック:移行元と移行先のデータ整合性を自動的に検証
差分同期:移行期間中に発生した差分・増分データを複数回に分けて追加コピー
このような自動化により、技術者の負担を大幅に軽減しながら、確実なデータ移行を実現します。
コスト削減効果の具体例
Wasabi Cloud Sync Managerを利用することで、以下のようなコスト削減効果を実現できます。
Wasabiの環境で移行が実施されるため、お客様に対する下り転送料金が発生しません
自動化されたプロセスにより技術者の作業負担が大幅に軽減され、人件費も削減できます
高速転送による移行期間の短縮は、ビジネスへの影響を最小限に抑え、機会コストの削減にもつながります
これらの削減効果を合わせると、従来の移行手法と比較して大幅なコスト削減が可能です。
移行後の運用と成功のポイント
クラウドストレージの移行は、プロジェクトの完了がゴールではありません。移行後の運用をいかに効率的に行うかが、長期的な成功の鍵です。ここでは移行後の運用で押さえておくべきポイントと、将来を見据えた戦略について解説します。
継続的なコスト最適化のポイント
クラウドストレージの移行後も、継続的なコスト最適化への取り組みが重要です。定期的なデータ整理を行い、不要なデータの削除やアーカイブ化を進めることで、ストレージコストを適正に保つことができます。
また、データのアクセスパターンを分析し、利用頻度に応じてストレージクラスを最適化することも効果的です。頻繁にアクセスされるデータは高速なストレージに、めったにアクセスされないデータは低コストなアーカイブストレージに配置するなど、データの特性に応じた配置を行うことでパフォーマンスとコストのバランスを最適化できます。
将来を見据えたストレージ戦略
データは今後も増え続けることが予想されます。そのため、将来の成長を見据えたストレージ戦略を立案することが重要です。
まず重要なのは、スケーラビリティの確保です。データ量の増加に柔軟に対応できる拡張性を持つプラットフォームを選択することで、将来の成長に備えることができます。またS3互換APIなど標準的なインターフェースを活用することで、ベンダーロックインを回避し、必要に応じて他のプラットフォームへの移行も容易になります。
さらに、複数のクラウドプラットフォームを組み合わせたマルチクラウド戦略も検討すべきでしょう。それぞれのクラウドの強みを活かしながら、リスク分散とコスト最適化を同時に実現することが可能になります。
まとめ
クラウドストレージの移行は、企業のIT戦略において避けて通れない重要な課題です。データ量の増加に伴い、ストレージコストや転送料金が経営を圧迫する前に、より効率的なプラットフォームへの移行を検討することが賢明です。
Wasabi Cloud Sync Managerのような専門的なサービスを活用することで、移行に伴うリスクとコストを最小限に抑えながら、スムーズな移行を実現できます。特に下り転送料金がかかる既存プラットフォームをご利用の場合、早期の移行検討が長期的なコスト削減につながります。
データという重要な資産をより自由で効率的なプラットフォームで管理することは、企業の競争力強化に直結します。クラウドストレージの移行を通じて、新たなビジネス価値の創出に向けた第一歩を踏み出しましょう。
新年が明けて1か月以上が経ちましたが、2025年の目標はまだ覚えていますか?その目標にはおそらく、販売ノルマの達成、顧客向けサービスのアップセル、クラウドストレージサービスに関する知識の向上などが含まれていることでしょう。Wasabiは、チャネル向けに設計されたクラウドストレージで効率を最大化し、利益率を拡大できる体制を提供します。また、Wasabiの多様なパートナー向けサービスを通して、お客様の目標を念頭に置いて設計された、独自の教育サービスをご利用いただけます。 最新トレーニングコースであるWasabi 技術認定は、チームで設定した目標の達成に向けたサポートを行います。このコースはシステムエンジニアやソリューションアーキテクトを対象としており、Wasabi Hot Cloud Storageの技術的な詳細や、お客様が最も求める機能について学ぶことができます。チームのメンバー全員がアクセスしやすく、使いやすい仕様になっています。トレーニングコースの内容トレーニングは、Wasabi Hot Cloud Storageの紹介と、Wasabi Account...
サイバー攻撃、特にランサムウェアによる被害は年々深刻化しており、今やニュースで耳にしない日はありません。小中学校、高等学校、大学、さらには教育委員会までもが攻撃対象となる中、限られたIT予算と人員で運用する教育機関にとっては、堅牢なランサムウェア対策の確保が急務です。本記事では、すでにバックアップを導入している、またはこれからバックアップシステムの導入を予定している教育機関を対象に、「明日からでも実施可能な」クラウドを活用した2次バックアップの重要性と導入方法について、具体的かつ実践的に解説します。教育機関の一般的なバックアップ環境とは?多くの教育機関では、オンプレミス上のファイルサーバーや仮想マシンを対象に、バックアップソフトを通じてローカルのストレージにデータを保存しているのが一般的です。しかし、オンプレミス環境のみのバックアップでは、次のようなリスクがあります。ランサムウェアによるバックアップデータの暗号化や削除地震や火災などの災害によるデータ消失ネットワーク障害による復旧不能状態このようなリスクを最小限に抑えるためには、物理的にも論理的にも隔離された「クラウドへの2次バックアップ」が非常に効果的です。クラウドへ2次バックアップをする7つのメリット既存の多くのバックアップソフトウェアは、クラウドストレージを保存先として設定できるGUI機能を備えています。インターネット回線や学術情報ネットワーク「SINET」経由でクラウドに2次バックアップを取ることで、以下のようなデータ保護効果が期待できます。クラウドバックアップの7つのメリット:オブジェクトロックによるデータ改ざん防止保存されたデータは一切の上書きや削除ができないため、ランサムウェア攻撃による暗号化や改変を防止できます。99.999999999%(11ナイン)の高耐久性クラウドストレージでは複数拠点にデータを冗長保存しているため、障害によるデータ消失リスクが極めて低くなります。即時導入可能クラウドなら物理的な機器準備が不要なため、必要なときにすぐ利用を開始できます。長期保存と容量拡張の柔軟性潜伏型のランサムウェアに備え、数ヶ月〜年単位のバックアップ保持が必要な場合でも、容易に容量拡張が可能です。地理的冗長性による災害対策災害時にも、遠隔地のクラウドからデータを復旧できるため、事業継続性が大幅に向上します。段階的な容量増加に対応必要最小限の容量で契約を開始し、利用状況に応じて柔軟にスケールアップが可能です。メンテナンスフリーで運用負荷を削減ハードウェア管理・アップデート・脆弱性対応は全てクラウド事業者が担うため、教育機関側の運用負担を大幅に軽減します。クラウドストレージはどこを選ぶべきか?Wasabiを選ぶ5つの理由ランサムウェア対策としてクラウドストレージを選ぶ際、「Wasabi」は教育機関に最適な選択肢といえます。その理由は以下の通りです。API利用・データダウンロードが無料多くのクラウドサービスではAPIアクセスやデータの取り出しに料金がかかりますが、Wasabiは完全無料。予算制限のある教育機関にとって、予測しやすく透明なコスト構造が魅力です。高速なアップロード/ダウンロードWasabiの「Hot Cloud Storage」は高い転送速度を誇り、万が一のリストア時にも迅速な対応が可能です。SINET経由での接続が可能学術情報ネットワークSINETを活用することで、セキュアで安定した接続環境を構築できます。WasabiのSINET接続は無料で利用可能です。主要バックアップソフトとの高い互換性Veeam、Arcserve、Backup Execなど主要ソフトと公式連携済み。GUI上から簡単にWasabiを選択できます。Multi-User Authenticationによる強固なセキュリティ誤削除や不正アクセスによるバケット削除を防ぐため、複数ユーザーの承認を必要とする「多要素認証」が設定可能です。今すぐ始められるランサムウェア対策クラウドバックアップは、今あるバックアップソフトとクラウドストレージを組み合わせるだけで、明日からでも導入可能です。もちろん、実際の導入には予算承認や調達手続きが必要ですが、Wasabiなら:最小コストでのスモールスタート既存システムの大幅変更不要教育機関向けに最適化されたクラウド環境というメリットがあるため、導入ハードルを大きく下げることが可能です。ランサムウェア対策の最後の砦としての「クラウドバックアップ」教育機関にとって、バックアップはデータ保護の「最後の砦」です。万が一の事態に備え、クラウド上に安全な2次バックアップを確保することは、情報資産を守る上で欠かせない取り組みです。まずは無料トライアルから、Wasabiのクラウドバックアップを体験してみてください。...
はじめに 2024年も、サイバー攻撃が多く発生した年となりました。特にランサムウェア攻撃は、驚くべき数で重要な機関に大混乱を引き起こし続けています。Sophosによるレポート「The State of Ransomware 2024」によると、2024年は59%の組織がランサムウェア攻撃の被害を受けました。標的となった企業の98%はデータを回復できたものの、大きな混乱と多額のコスト被害が発生しました。攻撃の際、要求される身代金の平均額は200万ドルでしたが、これに復旧費用が加わり、平均273万ドルのコスト負担が組織にかかる結果となりました。昨年、ハッカーは世界最大規模の組織や政府機関などに対して、業務の麻痺、データ損失、金銭的な損害を与えました。しかし、攻撃の多くは簡単な対策で軽減または完全に回避できた可能性があります。それでは、2024年に発生した破壊的なランサムウェア攻撃をいくつか見てみましょう。医療機関 2024年初頭、米国最大手の医療機関がランサムウェア攻撃を受けました。その結果、1億3100万人もの患者の記録が漏洩するデータ侵害が発生しました。流出した情報には、個人健康情報(PHI)、支払い記録、患者の社会保障番号、個人識別情報(PII)などが含まれていました。この医療機関は、情報が流出したことで数々の規制に基づく制裁を受けることになりました。さらに、処方箋を処理する目的などで提供していた医療ソフトウェアアプリの停止も余儀なくされました。また、決済サービスや歯科および医療記録アプリが停止したことで、医療に支障をきたし、患者の健康に影響を及ぼす可能性も示唆されました。課題 攻撃者は、盗んだ認証情報を使用して医療機関のネットワークとデータ資産にアクセスしました。実際、こういった攻撃は珍しくありません。Sophosのレポートによると、ランサムウェア攻撃の29%は認証情報の侵害をきっかけとしています。この医療機関では、多要素認証(MFA)が採用されていませんでした。そのため、攻撃者は盗んだ認証情報を悪用してネットワークへ侵入することができたのです。ユーザーとそのデバイスを認証する機能がなかったことで、正規のユーザーになりすました攻撃者を識別できず、侵入を防ぐことができませんでした。ソリューション MFAを採用していれば、攻撃の大部分を阻止できたはずです。MFAは、ネットワークアクセスを許可する前に、テキストメッセージや電子メールで固有コードを受信するようユーザーに要求します。これにより、盗まれた認証情報の使用をブロックすることができます。また、モバイルアプリを使用した新しいMFAモードでは、モバイルデバイスのなりすましによるSMSメッセージの傍受リスクを回避でき、より強力な保護が提供されます。さらに強力な認証対策になりうるのが、マルチユーザー認証(MUA)です。MUAでは、データの削除や暗号化、アカウントの変更や削除などを行う際、複数のユーザーが確認する必要があります。これにより、システムが侵害された場合でも、ランサムウェア攻撃による悪影響を軽減することが可能です。政府機関 ...