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ランサムウェアからの復旧時間はなぜ長い?最速で事業再開するには
ランサムウェア被害からの復旧に、1週間以上を要した組織は「約53%」。警察庁が2025年9月に公表した「令和7年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」は、復旧の長期化が多くの企業で現実に起きていることを示しています。なぜ復旧にこれほどの時間がかかるのでしょうか。本記事では、復旧が長引く原因を整理したうえで、最速で事業を再開するために見直すべきポイントを解説します。
ランサムウェア被害からの復旧時間はどれくらいかかるのか
国内の実態を端的に示すのが、冒頭で紹介した警察庁のレポートです。ランサムウェア被害を受けた組織のうち、復旧に1週間以上かかったケースが約53%(47件中25件)、調査・復旧費用が1,000万円以上に達したケースは約59%(39件中23件)にのぼりました。復旧期間が長引くほど費用も膨らむ傾向が示されており、企業規模によっては大きな負担となる可能性があります。
参照:令和7年上半期における サイバー空間をめぐる脅威の情勢等について|警察庁サイバー警察局
グローバルの調査でも同様の傾向が見られます。Sophos「ランサムウェアの現状 2025年版」(17カ国・3,400名対象)によると、1週間以内に復旧できた組織は53%で、前年の35%から改善しました。しかし裏を返せば、依然として約半数の組織が1週間以上の事業停止を余儀なくされています。復旧に1カ月以上を要した組織も18%存在し、事業継続への影響は決して軽視できません。
復旧が長期化する5つの原因
復旧時間を長引かせる要因は、技術的な問題からコスト面の障壁まで多岐にわたります。自社のBCPを見直す際には、以下の5つを重点的にチェックしましょう。
原因1:感染範囲の特定と封じ込めに時間を要する
ランサムウェアは侵入後すぐに暗号化を実行するとは限りません。ネットワーク内に数週間潜伏し、権限を拡大したうえで一斉に暗号化を仕掛けるケースも報告されています。フォレンジック調査で感染範囲を確定し、封じ込めが完了するまで本格的な復旧作業には着手できません。この初動調査のフェーズだけで数日から数週間を要することもあり、復旧の長期化に直結します。
原因2:バックアップからの復元が想定どおりに進まない
バックアップを取得していても、それが確実に機能するとは限りません。バックアップデータ自体がランサムウェアに暗号化されていたケースや、整合性テストを実施しておらず復元時に初めてデータ破損が判明するケースが報告されています。復旧計画の実効性テストを定期的に実施していない企業も少なくありません。このため「バックアップを取っているから安心」という思い込みが、復旧現場での混乱と時間のロスを生む原因になっています。
原因3:システム再構築と安全確認に工数がかかる
データを復元できたとしても、それだけでは事業を再開できません。OSやアプリケーションのクリーンインストール、セキュリティパッチの適用、再感染防止のための安全確認など、多くの工程が必要です。これらは並行して進めにくく、システムごとに順番に実施するため、環境の規模が大きいほど復旧期間は長くなります。
原因4:クラウドからの大容量データ転送がボトルネックになる
クラウドストレージにバックアップを保管している企業は増えていますが、有事に数TB規模のデータをダウンロードするには相応の時間がかかります。とくに回線帯域の制約やクラウドサービス側のスループット制限がボトルネックとなり、「バックアップはあるのに手元に戻すまでに何日もかかる」という状況が生まれます。
原因5:エグレス料金が迅速な復旧の判断を鈍らせる
多くの大手クラウドストレージでは、データのダウンロード時にエグレス(下り転送)料金が発生します。数TBのバックアップを一括で復旧しようとすると、数十万円から数百万円規模のコストが生じるケースも珍しくありません。この追加コストが判明した段階で、社内承認の取り直しや復旧範囲の再検討が必要になり、本来なら即座に着手できるはずのデータ復旧に遅延が生じます。
最速で事業を再開するためにBCP担当者が見直すべき3つのポイント
上記の原因を踏まえると、復旧時間の短縮には技術面とコスト面の両方からアプローチする必要があります。BCP担当者が優先して取り組むべき3つのポイントを整理します。
RTOの再設定と復旧手順の定期テスト
まず重要なのは、自社の業務特性に基づいた現実的なRTO(目標復旧時間)を設定し、バックアップからのリストアテストを定期的に実施することです。計画を策定しただけでは不十分で、実際にデータを復元し、システムが正常に稼働するかを検証して初めて実効性が担保されます。テストで判明した課題は手順書にフィードバックし、復旧の確実性とスピードを継続的に改善するサイクルを回しましょう。
イミュータブルバックアップでデータの安全性を確保する
近年のランサムウェアは、本番データだけでなくバックアップデータの在り処を探し出して暗号化する手口が増えています。この対策として有効なのが、データの変更・削除が不可能なイミュータブル(不変)ストレージへのバックアップです。オブジェクトロック機能を利用すれば、管理者アカウントが侵害されてもバックアップデータを保護できます。3-2-1ルール(3つのコピー、2種類の媒体、1つはオフサイト)と組み合わせることで、復旧の確実性を大幅に高められます。
エグレス料金のないクラウドストレージで復旧コストの壁をなくす
有事に数TBのバックアップを一刻も早くダウンロードしたい場面で、エグレス料金がコスト面・意思決定面の障壁になることは前述のとおりです。エグレス料金が発生しないクラウドストレージを選定すれば、コスト面での社内調整に時間を取られることなく、技術的な復旧作業に即座に着手することが可能になります。さらに、平時の復旧テストにも追加コストがかからないため、BCPの実効性を繰り返し検証しやすくなる点も見逃せません。
Wasabi Hot Cloud Storageが最速の事業再開を支える理由
ここまで述べてきた「復旧の速さ」と「コストの予測可能性」を両立するソリューションとして、Wasabi Hot Cloud Storageの特長を紹介します。
(内部リンク)Wasabi Hot Cloud Storage
エグレス料金・APIリクエスト料がゼロ
Wasabiはデータダウンロード時のエグレス料金およびAPIリクエスト料が一切発生しないシンプルな料金体系を採用しています。ランサムウェア被害時に数TB規模のデータを復旧する場面でも追加コストを気にする必要がなく、復旧の意思決定を遅らせません。また、定期的な復旧テストにも追加費用が不要なため、「コストが心配でテストを後回しにする」という事態を防げます。
イミュータブルストレージとマルチユーザー認証で多層防御
Wasabi Object Lock(オブジェクトロック)を利用すれば、設定した保持期間中はデータの変更・削除が不可能になります。コンプライアンスモードでは、Wasabiのエンジニアを含め、いかなるユーザーもデータを上書きできません。さらに、マルチユーザー認証(MUA)によりバケット削除やアカウント削除に複数の承認者を必須とすることで、管理者アカウントが乗っ取られた場合のリスクも低減します。
主要バックアップソフトとのS3互換で導入がスムーズ
WasabiはAWS S3互換のAPIを提供しており、Veeam、QNAP、MSP360など主要なバックアップソリューションとの連携実績があります。既存のバックアップ環境をそのまま活かしながら、バックアップ先をWasabiに切り替えるだけで、エグレス料金が無料で、かつイミュータブルなバックアップ環境を構築できます。
まとめ
ランサムウェアからの復旧が長期化する背景には、感染範囲の特定、バックアップの失敗、システム再構築、クラウドからのデータ転送時間、そしてエグレス料金という複合的な要因があります。最速で事業を再開するためには、RTOの再設定と復旧テストの定期実施、イミュータブルバックアップの導入、エグレス料金のないストレージ選定の3点が鍵になります。
Wasabi Hot Cloud Storageは、エグレス料金無料・イミュータブルストレージ・主要バックアップソフトとの互換性を備え、コスト面・スピード面の両方から最速の事業再開を支援します。自社のBCPを見直す第一歩として、ぜひWasabiのサイバーレジリエンスソリューションをご確認ください。
常に変化する環境の中で、テクノロジー予算を組むのは簡単なことではありません。昨今、セキュリティコストは増加し、AIやデータ関連のプログラムは加速しています。総予算を増やさずにインフラ、運用、人員配置のすべてを拡張することが求められるうえ、取締役会、規制当局、保険会社に対して、トラブル発生時でも事業を継続できることの証明を提出する必要もあります。こうしたプレッシャーの中心にあるのが、サイバーレジリエンスです。サイバーレジリエンスとは、重大なインシデントを吸収し、統制された形で復旧させ、何が起きたかを証明するものであり、ビジネスの継続を左右する存在です。また、サイバーレジリエンスはストレージ容量のコスト、バックアップおよび災害復旧ソフトウェア、専門サービス、外部監査、保険更新など、予算の各項目にも明確に現れます。そのため、これはデータ保護の問題であると同時に、組織のコスト策定にも大きく関わっています。CIOが取締役会に予算を提示する際、単にツールへの投資を主張するだけでは不十分です。そのツールによってコストが計画通りに推移すること、組織が障害に耐え復旧できること、そしてデータが検証に耐えうることを示さなければなりません。サイバーレジリエンスが明確に組み込まれていない場合、それがビジネスの基本条件であるという認識が薄まり、単に「あれば望ましいもの」として追いやられてしまいます。こういった文脈を踏まえて、サイバーレジリエンスを運用に組み込めるよう考察してみましょう。本ブログでは、CIOが予算計画を立てる際に役立つ7つのポイントをご紹介します。各テーマは、一般的な支出分野と、それが支えるべきレジリエンスの成果を結び付けています。CIOとして方針を決定する立場にある方も、承認を得るために計画を提示するリーダーの方も、予算を策定する際にぜひご活用ください。1.サイバーレジリエンスを運用要件の中核にする今や、サイバーインシデントは絶えず発生しうるリスクとなっています。そのため、取締役会、規制当局、保険会社は、事業が障害に耐え、管理された形で復旧できることの証明を求めています。こういった状況のなか、CIOは、不変コピー、複数ユーザー承認、職務分離、テスト済みの復旧といった具体的なレジリエンス対策を提示しながら、それらが業務システムをどのように保護しているかを説明できなければなりません。こうした根拠が示されない場合、インシデントによる影響の深刻化、保険の更新ストップ、リスク管理に対する信頼の低下などに陥ります。2.予期せぬ出費を排除し、ストレージコストを安定化させるクラウドストレージ予算はかつて背景的なコストとして扱われていましたが、今やIT予算の中でも特に安定させにくい項目の一つになっています。業界のベンチマーク調査(英語)によると、クラウドストレージ費用の大部分は、容量そのものではなく、下り転送料・API利用料・データ取得料の変動に由来していることが明らかになりました。このような変動によってストレージコストが予期せず増加すると、組織は予算内に収めるためにベストプラクティスを削減せざるを得なくなり、あらゆるサイバーレジリエンス計画を損なうことになります。ストレージ料金が予測可能であれば、財務部門は予算を把握でき、CIOは意図的かつ統制された形でレジリエンスに投資することができます。3.AIによるデータ増加を見据えたストレージ計画を立てるAIや機械学習を利用すると、ストレージ容量に絶え間ない負荷がかかります。学習データ、作業用データセット、アーカイブされたモデル、ログ、推論結果は急速に増加し続け、その多くは再利用・監査・再学習のために保持する必要があります。そのため、容量計画においては、生成されるデータ量、データの保持期間、保護の方法を明確に考慮しなければなりません。AIを前提にストレージを計画すれば、期待するスピードでビジネスを進められます。そうでない場合、プロジェクトは停滞し、モデルの進化速度にAIデータのレジリエンスが追いつかなくなります。4.ストレージ効率をイノベーションと近代化の資本に変える多くのCIOは、総予算を増やすことなくAI・分析・近代化・セキュリティを改善することが求められています。これを実現するには、日々の支出を調整して余地を生み出す必要があります。これに対して、ストレージ階層の簡素化、重複システムの廃止、見えにくいコストの削減を行うことで、単なるコスト削減にとどまらず、サイバーレジリエンスを維持しながら戦略的な取り組みへ予算を割り振ることができます。このように捉えると、ストレージ効率はレジリエンス強化と将来的な変革に役立つ資本となります。これが明確でない場合、せっかく利益を捻出できても一般経費に回収され、新しい取り組みは後回しにされてしまいます。5.ハードウェアの過剰購入から、適切な規模のオンデマンド容量へ移行する数年先を見越してストレージハードウェアを購入するという手法は、変化の激しい現在の環境には適していません。ワークロードの移行、新しいサービスの立ち上げ、プラッフォーム間のデータ移動が行われると、ある場所では容量が余り、別の場所では不足する事態に陥ります。こう言った状況は、資本の無駄遣いやプロジェクト遅延につながる恐れがあります。ストレージが段階的に拡張できれば、成長に関する意思決定は緊急対応ではなく通常のガバナンスの一環として行えます。サイバーレジリエンスの観点でも、重要なワークロードの実行場所に合わせて柔軟に保護と復旧を整合させることができ、不適切な過剰保護や保護不足のリスクを低減できます。6.適切なトレーサビリティとガバナンスで監査に対応する規制当局、監査当局、顧客は今や、データを単に暗号化するだけでなく、エンドツーエンドで適切に扱われている証拠を求めています。つまり、データの来歴、保持期間、アクセス履歴、保存場所を示す必要があります。これに伴い、CIOが重視すべき点も、データの暗号化から、データの収集・処理・保存・破棄がGDPR、HIPAA、AI関連の開示要件を満たしているかどうかに移りました。このレベルの可視性が欠けている場合、セキュリティとコンプライアンスの整合性が失われ、監査の長期化やコスト増加を招くとともに、手作業で証拠を収集することになります。こういった組織は、データの完全性とともに信頼も失います。7.重要データと財務データを同等の基準で管理する昨今の取締役会や監査委員会はデータを中核的な資産と見なす傾向にあり、重要な記録、モデル、ログが改ざんや削除されないという証拠を求めるようになりました。そのためCIOは、監査に耐えうる統制を設計する必要があります。具体的な対応策としては、独立した管理で論理的にエアギャップ化されたコピー、破壊的な操作に対する複数ユーザー承認(英語)、明確な職務分離などが挙げられます。これらが欠けている場合、監査で問題が露呈し、デジタル記録への信頼が低下します。その結果、是正作業が増え、M&Aや資金調達といったプロセスも遅延し複雑化します。予算に関する議論への影響これまでに挙げたポイントは、最初から予算計画に組み込まれて初めて意味を持ちます。そのためには、ツールや容量の問題ではなく、経営陣が理解できるビジネステーマへと議論をシフトする必要があります。ストレージ、バックアップ、保護に関する予算項目を成果と明確に結び付けることで、一貫性のあるレジリエンス戦略として提示できるようになります。実際にCIOが行うのは、個々の製品の必要性を単に主張することではなく、各テーマを具体的な根拠で裏付けることです。目標は、詳細な説明がなくても財務部門や取締役会の精査に耐えうる予算案を提示することです。サイバーレジリエンスの価値を示すことができれば、大きな説得力とともに予算を獲得できるようになります。容量にかかる料金と下り転送料・API料・データ取得料を分け、クラウドストレージ支出の推移を把握することで、コスト変動の原因を明らかにする。過去1年間の支出を日常的な運用費と新規投資に分け、ストレージのコスト削減がAI、データ、システム刷新の取り組みと明確に結びついていることを可視化する。AIデータの増加に関する前提条件を整え、学習データ、モデル、ログに必要な容量や保持期間を明確にする。直近のテスト結果に基づく復旧とレジリエンスに、RTO(目標復旧時間)やRPO(目標復旧時点)、および予算投資によって改善される項目リストを含める。監査、保険会社、規制当局は、保存データの暗号化だけでなく、トレーサビリティ、完全性、管理設計を重視していることを把握する。容量と利用率の状況を見極め、明らかな過剰購入、遊休資産、新規プロジェクトの制約となる問題点を明らかにする。このように活用すれば、予算は単にストレージ容量を正当化するためのものではなく、有効なサイバーレジリエンスとガバナンスを確立し、AI対応の環境を支える存在となります。まとめ本ブログで取り上げたリストの中から、組織の課題に沿ったテーマを2~3つ選び、次回の予算協議の軸に据えてください。そして、それぞれのテーマについて対処すべきリスクと必要な投資額を把握し、それらがレジリエンスの向上とAIおよびデータイニシアチブの支援につながるという根拠を明確に示しましょう。これを継続すれば、サイバーレジリエンスは単なる背景ではなく、データの信頼性と復旧性を支える中核になります。それは、予算においては説明可能なコミットメントに、役員会においては組織が負う価値のあるリスクに、AIやデータ施策においては管理と両立してビジネスを前進させる存在になります。こうして、CIOは自信を持ってサイバーレジリエンスを重視した予算編成を支持できるようになります。...
業界を問わずクラウドファーストが一般的になった今、逆にオンプレミス(以下、オンプレ)に回帰する動きが注目を集めています。クラウド利用料の高騰を受け、経営層から「オンプレに戻したほうが安いのではないか?」と問われて、比較検討を迫られている情シス担当者も多いのではないでしょうか。本記事では、オンプレ回帰が増えている理由を整理したうえで、全面的にオンプレ環境へ戻すことのリスクと、現実的な最適解としてのハイブリッド構成について解説します。オンプレ回帰とはオンプレ回帰(Cloud Repatriation)とは、一度クラウドに移行したシステムやデータを、再びオンプレ環境に戻す動きを指します。海外では2020年頃から注目を集め始めたとされており、日本でも近年急速に関心が高まっています。オンプレ回帰が増えている主な理由企業がクラウドからオンプレ環境への回帰を検討する背景には、コスト・セキュリティ・パフォーマンスに関連する3つの課題があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。クラウド利用料の想定外の高騰クラウドサービスの多くは従量課金制を採用しており、データ量の増加に比例して費用が膨らみやすい構造になっています。特に見落とされがちなのは、クラウドからデータを取り出す際に発生するエグレス(下り転送)料金です。バックアップのリストアやデータ分析のために大量のデータを転送すると、想定外の高額請求につながるケースが少なくありません。さらに、AWS・Azureなど主要クラウドはドル建てで課金されるため、円安局面では為替の影響でコスト負担がさらに増大します。こうしたコストの不透明さが、多くの企業にオンプレ回帰を促す要因の一つとされています。セキュリティ・コンプライアンス要件の厳格化金融・医療・公共分野など機密性の高いデータを扱う業界では、データの保管場所やアクセス制御を自社の基準で厳格に管理したいというニーズが高まっています。クラウドプロバイダーとの契約だけでは自社のセキュリティポリシーを完全には満たせないと判断し、オンプレ環境への回帰を選択する企業もあります。経済安全保障やデータ主権に対する意識の高まりも、こうした動きを後押しする要因の一つです。パフォーマンスとカスタマイズ性への不満大量データ処理や低遅延が求められるワークロードでは、クラウド環境では細かいチューニングがしにくく、期待どおりのパフォーマンスが得られないケースがあります。近年はAI活用やデータ分析といった高負荷処理のニーズが急増しており、パフォーマンス面の課題がより顕在化しています。このため、「どのワークロードをどの環境で動かすべきか」を柔軟に判断できるオンプレ環境の自由度を再評価する動きも広がっています。全面的なオンプレ回帰が現実的でない理由オンプレ回帰にメリットがあるとはいえ、すべてのシステムをオンプレ環境に戻すのは簡単ではありません。全面回帰に踏み切る前に押さえておくべきリスクを整理します。初期投資と調達リードタイムの壁オンプレ環境を一から構築するには、サーバ・ネットワーク機器・ストレージなどのハードウェア調達に多額の初期投資が必要です。特に中堅・中小企業にとってはキャッシュフローへの影響が大きいことから、クラウドのコスト高騰を理由にオンプレ環境に全面回帰する判断は容易ではないでしょう。加えて、機器の選定から設置・稼働まで数か月単位のリードタイムがかかることも少なくありません。運用負荷と人材不足の問題オンプレ環境では、保守・監視・セキュリティパッチの適用・障害対応など、継続的な運用管理の負担がクラウド利用時よりも大きくなります。日本の中堅・中小企業では社内ITインフラを管理できるスタッフが慢性的に不足しているのが現状です。オンプレ回帰することでスタッフの負担増や属人化が進めば、人件費が増大して当初の目的を達せられない恐れがあります。拡張性・BCP対応の制約オンプレ環境はスケールアップ・スケールアウトに物理的な制約があり、データ量の急増やビジネスの拡大に対して柔軟に対応しにくい面があります。また、災害対策(BCP)の観点でも、オンプレ環境のみではデータの遠隔保管や冗長化に限界があります。自然災害リスクの高い日本においては、データの保管先を分散できる仕組みを持っておくことが不可欠です。適材適所のハイブリッド構成が現実的な最適解ここまで見てきたように、全てをオンプレ環境に戻すのも、全てをクラウドに置き続けるのも、それぞれにリスクがあります。そこで現実的な最適解と言えるのが、ワークロードの特性に応じてオンプレ環境とクラウドを使い分ける「ハイブリッド構成」です。重要なのは「オンプレかクラウドか」の二者択一ではなく、それぞれの強みを活かして適材適所で組み合わせるという発想です。具体的には、高速処理や低遅延が求められる演算系ワークロードはオンプレ環境や既存クラウドで稼働させ、増え続ける大容量データの保管にはコスト効率の高いクラウドストレージを活用するという振り分けが考えられます。こうした役割分担により、初期投資や運用負荷を抑えながら、クラウドのコスト肥大化も防ぐことができるでしょう。このハイブリッド戦略を成功させるカギは、特にコストが膨らみやすいストレージ領域の最適化にあります。ストレージコストの課題をWasabiで解決するハイブリッド構成でストレージコストを最適化するなら、料金体系がシンプルなクラウドストレージの選定が重要です。ここではWasabi Hot Cloud Storageの特長を紹介します。>Wasabi Hot Cloud Storageエグレス料金ゼロの料金体系主要クラウドでは、データを取り出すたびに従量課金のエグレス料金が発生し、月々のコストが予測しにくいという課題があります。Wasabi Hot Cloud...
年末は立ち止まって一年を振り返る時期です。高等教育機関のITおよびセキュリティ担当者にとって、2025年は真のセキュリティコストが浮き彫りになった年でした。この影響は予算だけでなく、チームの在り方やデータの保存場所に関するあらゆる意思決定にも及んでいます。こうした背景を踏まえ、高等教育におけるサイバーレジリエンスについて、この1年間で明らかになったことを見ていきましょう。より巧妙化し、頻繁になるサイバー攻撃2025年は大学や高等教育機関に対する攻撃が増加し、平均して、教育機関は1組織あたり毎週4,388件のサイバー攻撃を受けました。これは世界平均の2倍以上であり、前年と比べて31%増加しています(DeepStrike)。もし、大学キャンパスが常に標的にされているように感じている方がいる場合、それは気のせいではありません。ランサムウェアの主な原因は、人為的ミス(PEBKAC: Problem Exists Between Keyboard and Chair)であることは以前から変わっていません。また、主な攻撃手段としてはソーシャルエンジニアリングが挙げられます。送信者がネイティブスピーカーではないことが一目瞭然な、不自然な文章のフィッシングメールやテキストメッセージは誰もがご存じでしょう。しかし、この状態は急速に変化しています。攻撃者はAIを活用し、より洗練かつパーソナライズされた、一目で見破ることが困難なメッセージを作成するようになりました。毎日大量に届くメッセージの一つ一つを精査する時間的な余裕がない場合、これは大きな問題となります。AI以外にも、RaaS(Ransomware as a Service)といったものも存在します。これはいわばサブスクリプション型のサイバー犯罪であり、攻撃者に新たな手段を提供しながら攻撃のハードルを下げています。特に高等教育機関は標的となる要素が非常に多いため、こうした状況を深刻にとらえる必要があります。教育機関には学生の記録だけでなく、応募者の財務情報、教職員のデータ、寄付者や卒業生のリストなど、詐欺行為の温床となりうる情報が豊富に存在します。さらに、高度な研究、特に医薬品や軍事用途に関連する研究などが加われば、機密性の高い知的財産の宝庫となります。さらに、サイバー犯罪者の目的はもはや身代金だけに留まりません。政治的・社会的・学術的な理由で大学を攻撃するハクティビストも増えています。この場合、入学データ、研究プロジェクト、さらには入学選考の結果までもが標的になり得ます。高い知名度と資金力のある名門大学は特に魅力的なターゲットであり、脅威の状況は一般的なランサムウェア以上に複雑になっています。IT予算の縮小とスキル不足によるセキュリティリスクの上昇高等教育には、低コストで幅広いセキュリティを実現するというプレッシャーが存在します。EDUCAUSEによると、高等教育機関の42%が2025~2026年度にIT予算の減少を見込んでいます。同時に、大学キャンパスでは学期ごとに新しいユーザーが大量に追加され、IT職の離職率も比較的高いため、環境のパッチ適用、監視、セキュリティ維持がより難しくなっています。Dellと共同で作成したeBook「The...
