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SLA稼働率で失敗しないために!計算方法からクラウドストレージの選び方まで徹底解説

Fri Aug 23 2024By Mayuko Yoshitome

システムの安定稼働は、ビジネス継続性と深く関係する重要な要素です。一方で、システム安定稼働の指標となるSLAについて正しく理解している人は、それほど多くありません。

この記事ではSLAの基礎知識から稼働率の計算方法、クラウドストレージにおけるSLAの重要性について解説します。自社にとって最適なクラウドストレージ選びの一助となれば幸いです。


システム安定稼働の要!SLAについて理解しよう

ビジネスの安定運用には、システムの安定稼働が不可欠です。まずはその指標となるSLAについて、基礎から理解を深めていきましょう。

SLAとは?

SLA(Service Level Agreement)とは、サービス提供事業者と利用者の間で締結される、サービスの品質に関する合意書のことです。稼働率はSLAの中核指標の一つであり、システムが正常に稼働している時間の割合を示します。

システム停止は、機会損失、復旧費用、ブランド毀損など、ビジネスに計り知れない損失をもたらします。そのため、RFP(提案依頼書)においても、安定稼働を担保するSLAの稼働率は重要な評価項目となっています。

SLAの稼働率に影響を与えるダウンタイム

稼働率を考える上で重要なのが、ダウンタイム(サービス停止時間)です。ダウンタイムには、計画ダウンタイムと計画外ダウンタイムの2種類があります。

計画ダウンタイムは、システムメンテナンスやバージョンアップなど、事前に計画されたサービス停止時間を指します。一方、計画外ダウンタイムは、ハードウェア故障やソフトウェアの不具合、災害など、予期せぬ事態によって発生するサービス停止時間を指します。

SLAでは、計画ダウンタイムを稼働率の計算から除外することが一般的です。しかし、計画外ダウンタイムは、サービスの信頼性に関わる重要な要素となるため、その発生頻度や対応時間などが厳しく規定されます。

SLAの稼働率計算をマスターしよう

SLAの稼働率は、以下の計算式で算出されます。

稼働率=(期間中の総時間−ダウンタイム) / 期間中の総時間×100%

例えば、1年間(365日=8,760時間)で合計8.76時間のダウンタイムが許容される場合、稼働率は99.9%となります。

このようにダウンタイムが短くなるほど、稼働率は小数点以下の数字が増えていきます。数字の長さは稼働率の高さ、つまりシステムの信頼性の高さを示すと言えるでしょう。

SLA稼働率「ナイン」の定義とビジネスへの影響

SLA稼働率は「ナイン」の数で表現されることが一般的です。99.9%は「スリー・ナイン」、99.99%は「フォー・ナイン」と呼びます。

スリー・ナイン(99.9%):年間約8.76時間のダウンタイム許容。一般的なビジネス要件に対応可能。

フォー・ナイン(99.99%):年間約52.56分のダウンタイム許容。より高い安定稼働が求められるシステムに適応。

イレブン・ナイン(99.999999999%):年間約31.5ミリ秒のダウンタイム許容。ミッションクリティカルなシステムに求められる最高水準。

データの重要性が高まり、ビジネスのシステムへの依存度が高まる現代において、高いSLA稼働率を満たすサービスを選択することが、企業の競争力を維持する上で不可欠となっています。

クラウドストレージにおけるSLA稼働率の重要性

データ損失は企業活動に致命的な影響を与えかねません。このため、企業の重要な資産であるデータを預けるクラウドストレージにおいて、SLAの稼働率は重要な選定基準となります。

データ消失は企業にとって致命傷!

顧客情報や売上データ、設計図面など、データは企業にとって欠かせない資産です。もしもの事態でデータが消失してしまえば、復旧にかかる費用や機会損失といった金銭的損失だけでなく、顧客からの信頼失墜、ブランドイメージの低下など、事業継続を揺るがす深刻な事態になりかねません。

企業は、事業継続計画(BCP)の一環として、重要なデータを安全に保管し、いつでもアクセスできる体制を整えておく必要があります。高いSLA稼働率を保証するクラウドストレージサービスの利用は、そのための重要な施策の一つと言えるでしょう。

クラウドベンダー選びで重視すべきポイント

とはいえ、クラウドストレージサービスを選ぶ際はSLA稼働率の高さだけにとらわれず、多角的な視点を持つことが重要です。

データセンターの安全性や冗長性も重要な検討要素です。自然災害や火災などへの対策、電力供給の安定性、データのバックアップ体制などが適切に整備されているかを確認しましょう。

また、障害発生時の対応体制や復旧までの時間も重要なポイントです。迅速かつ適切な対応、情報公開の透明性など、信頼できるベンダーであるかを見極める必要があります。過去のインシデント情報を確認することも、ベンダーの信頼性を判断する上で参考になります。

Wasabi Hot Cloud Storage:イレブン・ナインのデータ耐久性を実現

WasabiのHot Cloud Storageは、高いSLA稼働率と堅牢なセキュリティを兼ね備えたクラウドストレージサービスです。

Wasabiが誇る最高レベルのデータ保護機能

Wasabi Hot Cloud Storageは、イレブン・ナイン(99.999999999%)の驚異的なデータ耐久性を実現しています。これは1000万個のオブジェクトを保存した場合、1000年に1個未満のデータ消失しか起こらないという、極めて高い信頼性です。

ビジネスを止めない!高い信頼性と可用性

Wasabi Hot Cloud Storageが置かれているのは、SOC2に準拠し、ISO 27001およびPCI-DSSの認定を受けた世界中のデータセンターです。データセンター内の設備、ネットワーク、システムの監視・運用を24時間365日体制で実施することで、WasabiはSLAで規定された稼働率を常に維持しています。

まとめ:Wasabiで安心のデータ保管を!

企業活動においてデータの重要性はますます高まっており、その安全な保管は事業継続の要となります。SLAの稼働率は、システムの安定稼働、ひいてはビジネスの継続性を左右する重要な指標と言えるでしょう。

Wasabi Hot Cloud Storageは、イレブン・ナインという驚異的なデータ耐久性を実現し、お客様の大切なデータをあらゆるリスクから保護します。強固なセキュリティ対策、高い信頼性と可用性により、安心してデータ保管を任せられる環境を提供します。

Wasabiは、従来のオンプレミス環境におけるデータ保管に伴うコストや手間、そして不安を解消する、最適な選択肢です。ぜひこの機会に、Wasabi Hot Cloud Storageの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

Wasabi Hot Cloud Storageの詳細はこちら



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ジェネラルアーカイブとバックアップを使いこなす!データ保存の長期戦略

ITV Studios Netherlands 、パフォーマンスを下げることなくストレージコストの削減に成功

ITV Studios Netherlands は世界中に13拠点を構え、バラエティに富んだ映像やエンタメコンテンツを生み出す、オランダ最大級のコンテンツ事業者です。あらゆるジャンルを網羅し、また多くのプラットフォームに向けた魅力的で有益なコンテンツを制作するだけでなく、制作した番組の配信、放映も行っています。また、国内大手の放送局への販売も行い、近年加入者に向けた様々なストリーミングコンテンツの制作、配信を担うITVXというストリーミングサービスも開始しました。課題:高まるストレージ需要への対応コンテンツ事業者として、ITV Studios Netherlandsは何層もの階層を有した膨大な容量のストレージを必要としていました。長年にわたって、元映像や編集過程で生じる様々な段階での番組データを、非常に重い企業データの保存先としても使用されているオンプレミスのクラスターファイル上に保存していました。そのクラスタファイルはテラバイト単位の膨大なデータを保存することが可能でしたが、時間が経つにつれ、容量が問題になってきました。古い番組や映像のみならず、新しい映像も保存し続けていたからです。その間、解像度は上がり4Kに到達していました。また、ファイルクラスタの容量が一定であるにも関わらず、ストレージ容量の需要は強まる一方でした。 インフラストラクチャとネットワークのチームリード、Jordy de Muijnk氏によると、会社のデータを保存していたオンプレミスのファイルクラスタは、まるで「高額な駐車スペース」のようになっており、その状況を打破するために、他のソリューションを検討していかなければならくなりました。De Muijnk氏は、過去数年間クラウドストレージについて検討してきましたが、下りと上りの転送料金が懸念材料となり、検討が進まずにいました。ITVは大容量の高品質で高性能なストレージが必要でしたが、AWSなどのプロバイダーを検討したところ高額で予算内に収まりませんでした。De Muijnk氏とチームメンバーはWasabiのパートナー企業であるReal...

レプリケーションとバックアップの違いとは?ビジネスにおけるデータ保護の選択肢を理解する

現代社会において、顧客情報、売上データ、製品設計といった企業活動を支えるデータは、まさに「企業の財産」です。しかし災害やヒューマンエラー、サイバー攻撃などにより、データ損失のリスクは常に隣り合わせにあります。万が一データが消失してしまったら、事業の継続はもちろん、企業の存続さえ危ぶまれる事態になりかねません。そこで重要となるのが、データ保護の観点です。この記事では、データ保護の選択肢として重要な「レプリケーション」と「バックアップ」の違いを解説し、企業にとって最適なデータ保護戦略について考えていきます。レプリケーションとは?仕組みとメリット・デメリットレプリケーションとは、簡単に言えば「データの複製を作成する技術」。元のデータがあるストレージとは別に、別の場所にもう一つコピーを作成することで、データを常に最新の状態に保ちます。レプリケーションの種類レプリケーションには、データの複製方向に着目した「一方向レプリケーション」と「双方向レプリケーション」、データの同期方法に着目した「同期レプリケーション」と「非同期レプリケーション」など、いくつかの種類があります。一方向レプリケーションと双方向レプリケーション一方向レプリケーションとは、データを一方的に複製元から複製先にコピーするタイプのレプリケーションです。複製先でのデータ編集はできませんが、シンプルなため高速で処理を行えます。これに対し双方向レプリケーションでは複製元と複製先の両方でデータを編集でき、変更内容は相互に反映されます。リアルタイムでのデータ共有に適していますが、競合が発生する可能性もあります。同期レプリケーションと非同期レプリケーション同期レプリケーションでは、データの複製が完了してから次の処理に移ります。データの整合性が保たれる一方で、処理速度は遅めです。一方、非同期レプリケーションはデータの複製をバックグラウンドで行うことで、処理速度を優先します。複製元と複製先のデータに時間差が生じる可能性がありますが、システムへの負荷が低く、処理速度が高速です。レプリケーションの特徴レプリケーションの3つの特徴を紹介します。データをリアルタイムで複製同期レプリケーションの場合、リアルタイムでデータの複製を作成します。つまり、元のデータに変更が発生した場合、ほぼ同時に複製データにも同じ変更が反映されるということです。このため常に最新のデータにアクセスでき、業務効率の向上に繋がります。システムの可用性を向上万が一、元のデータが保存されているストレージに障害が発生した場合でも、レプリケーションがあれば、複製データを使って業務を継続することができます。システムのダウンタイムを最小限に抑えることができるため、事業継続性の向上に大きく貢献します。災害復旧対策としても有効レプリケーションでは、地理的に離れた場所に複製データを作成することも可能です。そのため、地震や洪水などの広範囲災害が発生した場合でも、データの損失を防ぎ、迅速にシステムを復旧できます。なお多くのクラウドプロバイダでは、異なるエリア間でデータをレプリケートするリージョン間レプリケーションが利用可能です。レプリケーションのメリット・デメリットレプリケーションの最大のメリットは、データ損失のリスクを大幅に低減できることです。リアルタイムで複製が作成されるため、元のデータが消失した場合でも、複製データから復元することが可能です。一方、レプリケーションでは元のデータとは別に複製データ用のストレージが必要となります。そのため、ストレージ容量の増加に伴い、コストも増加する可能性があります。バックアップとは?種類とメリット・デメリットバックアップとは、特定の時点におけるデータのコピーを作成し、別の場所に保管しておくことです。万が一、元のデータが消失した場合でも、バックアップデータから復元することができます。バックアップの種類バックアップには、主に以下の3つの種類があります。フルバックアップすべてのデータをバックアップします。最も容量が必要ですが、復元が容易というメリットがあります。差分バックアップ前回のバックアップ(フルバックアップまたは差分バックアップ)以降に変更されたデータのみをバックアップします。フルバックアップよりも容量を抑えられます。増分バックアップ前回のバックアップ(フルバックアップ、差分バックアップ、または増分バックアップ)以降に変更されたデータのみをバックアップします。差分バックアップよりもさらに容量を抑えられます。バックアップの特徴バックアップは、特定の時点におけるデータの「スナップショット」を保存します。たとえば、毎日夜中の1時にバックアップを取得するように設定した場合、毎日夜中の1時のデータがバックアップとして保存されます。バックアップのメリット・デメリットバックアップは、複数の時点のデータを取得しておくことが可能です。そのため、過去の任意の時点にデータを復元することができます。誤ってデータを削除してしまった場合でも、削除前の状態に復元できる点が大きなメリットといえるでしょう。一方、バックアップデータから元のデータを復元するには「リストア」という作業が必要になります。バックアップデータの容量が大きい場合、このリストアに時間がかかることがあります。また、バックアップを取得してからデータが更新されている場合、その間のデータは失われてしまう点もデメリットです。レプリケーションとバックアップ、目的で使い分けようこれまで見てきたように、レプリケーションとバックアップは、どちらも重要なデータ保護の手段ですが、それぞれ異なる特徴があります。そのため、目的や状況に合わせて使い分けることが重要です。レプリケーションは「事業継続性の確保」に有効レプリケーションは、データの複製をリアルタイムで作成し、常に最新の状態に保ちます。このためシステムのダウンタイムを最小限に抑え、事業継続性を確保することに有効です。常にシステムが稼働している必要があるビジネス(たとえばECサイト)では、システム障害が発生してもサービス停止を回避でき、顧客に迷惑をかけるリスクを減らせます。バックアップは「データの保護と復旧」に有利バックアップは、過去の任意の時点のデータを復元できるため、データの消失や破損からの復旧に有利です。定期的にバックアップを取得しておくことで、ヒューマンエラーやシステム障害、サイバー攻撃など、さまざまな原因によるデータ損失に備えることができます。たとえば、顧客情報や財務データなど、重要なデータの保護には、バックアップが不可欠です。定期的にバックアップを取得し、安全な場所に保管しておくことで、万が一データが消失した場合でも、迅速に復旧することができます組み合わせることでより強固な保護体制をレプリケーションとバックアップは、それぞれ異なる目的や用途に適した技術です。そのため、両者を組み合わせることで、より強固なデータ保護体制を構築することができます。たとえば、主要なシステムにはレプリケーションを導入して事業継続性を確保し、重要なデータについてはバックアップを定期的に取得してデータ損失に備えるという方法が考えられます。まとめこの記事では、ビジネスにおけるデータ保護の重要性を踏まえ、レプリケーションとバックアップの違いについて解説しました。レプリケーションはリアルタイムなデータ複製によって、システムの継続的な稼働を支え、事業停止のリスクを最小限に抑えるための有効な手段です。一方、バックアップは過去のデータ状態を保持することで、障害発生時のデータ復旧を可能にする役割を担います。どちらの技術も、企業にとって重要なデータ保護の選択肢といえるでしょう。自社のビジネス要件やデータの重要度、予算などを考慮し、レプリケーションとバックアップの使い分け、あるいは組み合わせによって、より強固なデータ保護体制を構築していきましょう。...

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