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大容量データのバックアップ、クラウドが最適解な理由とは?
増え続けるデータのバックアップは、多くの企業にとって喫緊の課題です。バックアップ体制が不十分な場合、ランサムウェア攻撃や自然災害時に事業継続が困難になるリスクを抱えることになります。
本記事では、法人向けの大容量データバックアップにおける3つの主要な選択肢を徹底比較。コスト、セキュリティ、BCP対策の観点から、なぜ今クラウドストレージが最適解なのか、そして自社に合ったサービスを選ぶためのポイントを専門家の視点で解説します。
もはや待ったなし!法人の大容量データバックアップが抱える3つの課題
デジタル化の加速により、企業が管理すべきデータは爆発的に増加しています。しかし、多くの企業では従来型のバックアップ手法のまま運用を続けており、深刻なリスクを抱えているのが現状です。ここでは、今すぐ対策が必要な3つの根本的な課題について詳しく見ていきましょう。
課題1:増え続けるデータとストレージ容量の逼迫
企業が扱うデータは年々増加し続けています。高解像度の動画コンテンツ、CADデータ、基幹システムのログファイルなど、ファイルサイズの大きなデータが日常的に生成され、保存容量は常に逼迫状態です。
一方で、物理的なストレージであるHDDやNASの増設には、機器の調達コストだけでなく、設置スペースの確保や電力消費量の増加など、さまざまな課題があります。IT予算の確保が難しい中で、増え続けるデータに対応し続けることは、多くの企業にとって大きな負担です。
課題2:BCP対策の不備とデータ消失リスク
日本は地震や台風、豪雨などの自然災害が多い国です。また、近年急増しているランサムウェアなどのサイバー攻撃も、企業データを脅かす大きな脅威となっています。
オフィス内に設置された機器だけでデータを管理している場合、これらの災害や攻撃によって、企業の重要なデータが一瞬にして失われる可能性があります。事業継続計画(BCP)において、データの保護は最重要項目の一つですが、多くの企業では依然として対策が不十分な状況が続いています。
課題3:見過ごせないバックアップの運用・管理コスト
バックアップシステムの運用には、機器の購入費用だけでなく、初期設定、日々の監視、定期的なメンテナンス、障害発生時の対応など、多くの人的リソースが必要です。これらの「隠れコスト」は、IT担当者の人件費などを通じて企業の収益を圧迫します。
特に中小企業では、限られたIT人材がバックアップの運用管理に多くの時間を割かれることで、本来注力すべきコア業務やDX推進といった戦略的な取り組みが後回しになるという問題も生じています。
【徹底比較】法人向け大容量バックアップの3つの選択肢
法人が大容量データのバックアップを行う際の主な選択肢は、外付けHDD/SSD、NAS、クラウドストレージの3つです。それぞれの特徴を比較してみましょう。

選択肢1:外付けHDD/SSD|手軽だが事業レベルでは限界
外付けHDD/SSDは、導入コストが安く、接続するだけで使える手軽さが魅力です。個人利用や小規模なデータバックアップには適していますが、法人利用においては多くの課題があります。
まず、複数のPCからの同時アクセスができないため、チームでのデータ共有には不向きです。また、物理的な故障、紛失、盗難のリスクが常に付きまといます。バックアップ作業も手動になりやすく、担当者の負担が大きくなります。最も深刻な問題は、災害時にオフィスと共にデータが失われてしまうことです。企業の公式なバックアップ手段としては、あくまで補助的な位置づけに留めるべきでしょう。
選択肢2:NAS|複数人で使えるが「社内設置」のリスクは残る
NAS(Network Attached Storage)は、LAN内の複数デバイスからアクセス可能で、RAID機能による耐障害性の向上も期待できます。部門単位でのファイル共有には便利なソリューションです。
一方で、外付けHDDと比べて導入コストが高く、初期設定には専門知識が必要です。また、定期的なファームウェアアップデートやHDD交換などのメンテナンス作業も欠かせません。最大の問題は、NASもオフィス内に設置する機器であるため、HDDと同様に災害時のデータ消失リスクが残る点です。全社的なBCP対策としては不十分と言わざるを得ません。
選択肢3:クラウドストレージ|BCPと運用効率の最適解
クラウドストレージは、インターネット経由でデータセンターにデータを保管するサービスです。災害に強い堅牢なデータセンターでの保管により、オフィスが被災してもデータは守られます。運用管理はサービス提供事業者が行うため、IT担当者の負担は大幅に軽減されます。
容量の拡張も柔軟で、必要に応じて簡単に増減できます。場所を問わずアクセス可能なため、リモートワークにも対応できます。自動バックアップ機能も充実しており、人為的なミスによるバックアップ漏れも防げます。ランニングコストは発生しますが、総合的に見ても、法人が抱える多くの課題を解決できる、最も合理的な選択肢と言えるでしょう。
なぜ今、大容量バックアップにクラウドストレージが選ばれるのか?
従来の物理的なストレージによるバックアップから、クラウドストレージへの移行が加速しています。この変化は単なるトレンドではなく、企業が直面する課題を根本から解決できる合理的な選択肢です。ここでは、多くの企業がクラウドストレージを選ぶ3つの決定的な理由を解説します。
理由1:【BCP対策】堅牢なデータセンターが守る圧倒的な事業継続性
クラウドストレージの最大の価値は、物理的なオフィスからデータを分離できることです。国内の複数拠点でデータを分散保管するサービスを利用すれば、一つの地域が被災しても、他の地域のデータセンターからデータを復旧できます。
地震や台風などの自然災害が多い日本において、オフサイトバックアップは事業継続の生命線です。また、ランサムウェア攻撃を受けた場合でも、クラウド上の過去のバックアップデータから復旧できるため、身代金を支払うことなく事業を再開できます。このような強固なBCP対策は、もはや大企業だけの特権ではなく、すべての企業に必要不可欠な要素となっています。
理由2:【コスト削減】TCO(総所有コスト)を大幅に削減
「所有から利用へ」という考え方の転換により、企業は大幅なコスト削減を実現できます。物理的なストレージを所有する場合、ハードウェアの購入費用だけでなく、電気代、設置スペースの賃料、空調費用、そして5年ごとのリプレイス費用など、さまざまなコストが発生します。
さらに、見落としがちなのが運用管理にかかる人件費です。バックアップの監視、テープやディスクの交換、障害対応など、IT担当者が費やす時間を金額に換算すると、その額は決して小さくありません。これらすべてを含めたTCO(総所有コスト)の観点から考えると、クラウドストレージは非常に経済的な選択肢といえます。
理由3:【業務効率化】IT担当者を「守りの運用」から「攻めのIT活用」へ
バックアップシステムの運用管理から解放されたIT担当者は、より戦略的な業務に注力できます。DX推進や新システムの導入、セキュリティ強化など、企業の競争力向上に直結する「攻めのIT活用」にリソースを再配分できることは、企業にとって大きな価値となります。
クラウドストレージの導入は、単なるバックアップ手段の変更ではありません。IT部門の役割を、保守的な運用業務からビジネスの成長を支援する戦略的パートナーへと進化させる第一歩となります。
法人向けクラウドストレージ選びで失敗しないための3つのポイント
クラウドストレージの導入を決めても、サービス選びを誤ると期待した効果が得られません。数多くのサービスが存在する中で、自社に最適なものを選ぶには明確な基準が必要です。ここでは、後悔しないサービス選びのために、必ず確認しておきたい3つの重要ポイントをご紹介します。
ポイント1:料金体系の罠を見抜く〜「データ転送料金」に要注意〜
クラウドストレージを選ぶ際、ストレージ料金の安さだけに注目してはいけません。多くのサービスでは、データのダウンロード(リストア)時に「エグレス料金」と呼ばれる転送料金が発生します。平常時は問題ありませんが、災害復旧時に大量のデータをリストアする際、思わぬ高額請求が発生する可能性があります。
バックアップの本来の目的は「有事の際にデータを取り出す」ことです。料金体系がシンプルで、転送料金が無料、または予測可能なサービスを選ぶことが、総コストを抑える上で非常に重要です。
ポイント2:セキュリティとコンプライアンスは万全か
企業データの保護において、セキュリティは妥協できない要素です。データの暗号化は、通信時と保管時の両方で実施されている必要があります。また、不正アクセス防止機能、詳細なアクセスログ管理機能、多要素認証などのセキュリティ機能が充実しているかも確認しましょう。
業界や法規制によっては、データの保管場所に関する要件が定められている場合があります。例えば、個人情報を扱う企業では、国内のデータセンターでの保管が求められることがあります。自社のコンプライアンス要件を満たしているかどうか、事前にサービス内容を確認することが重要です。
ポイント3:バックアップ対象システムとの連携実績とパフォーマンス
現在利用中のバックアップソフトやアプリケーションとスムーズに連携できるかは、導入の成否を左右する重要なポイントです。APIの提供状況や同業他社での導入事例を確認し、自社のシステム環境に適合するかどうかを検証しましょう。
また、大容量データを扱う場合、転送速度や復元速度などのパフォーマンスも重要です。特に、業務時間内にバックアップを完了させる必要がある場合や、迅速な災害復旧が求められる場合は、十分な性能を備えたサービスを選ぶ必要があります。
まとめ
法人が抱える大容量バックアップの課題、すなわち増え続けるデータによる容量逼迫、BCP対策の不備、そして見過ごせない運用・管理コストの問題。これらすべてを解決する、最も効果的なソリューションがクラウドストレージです。
特に重要なのは「TCOとデータ転送料金を含めた総コストの把握」「企業データを守る堅牢なセキュリティ」「自社システムへの適合とパフォーマンス」という3つの観点からサービスを選ぶことです。
自社のバックアップ戦略を見直す第一歩として、クラウドストレージの導入を具体的に検討してみてはいかがでしょうか。Wasabiのクラウドストレージは、圧倒的な低コストと堅牢なセキュリティ、豊富な実績で多くの企業に選ばれているサービスです。データ保護の強化とIT運用の効率化を同時に実現し、企業の持続的な成長を支える強固な基盤づくりに、ぜひご活用ください。
ChatGPTをはじめとする生成AIの進化が、ビジネスに大きな変革をもたらしています。このAI革命の裏側で、モデルの学習に不可欠な「データ」の重要性がかつてないほど高まっています。AIに「食わせる」データが膨大になるにつれて、それを保管し、処理するためのデータセンター、とりわけデータストレージへの需要が世界的に急増しているのです。 本記事では、なぜ今データセンターとストレージが注目されるのか、その背景を深り下げ、生成AI時代を生き抜くためのデータ管理の重要性について解説します。生成AIが牽引する世界のデータセンター需要ChatGPTやGemini、Claude 4といった生成AIサービスが、企業のあらゆる業務で活用されるようになりました。これらのサービスの中核となる大規模言語モデル(LLM)や画像生成モデルは、学習と推論の両段階で膨大な計算能力を必要とします。たとえば、GPT-4の学習には数万台のGPUサーバーが数ヶ月間稼働し続ける必要があり、1回の学習コストは数十億円に達するとされています。この計算処理を担うGPUサーバーを大量に設置・稼働させるため、世界中でハイパースケールデータセンターの新設・増設が相次いできました。「情報通信白書令和6年版」によると、2020年に19.1兆円だったデータセンターシステムの市場規模は、2024年には36.7兆円まで拡大すると予測されています。 AIの性能は「データ」が命!その理由とは?「Garbage In, Garbage Out(ゴミからはゴミしか出てこない)」という慣用句が示す通り、AIの精度や信頼性は学習データの質と量に大きく依存します。どれほど優れたアルゴリズムを用いても、学習データが適切でなければ、期待通りの性能は得られません。なぜ「大量のデータ」が必要なのか?モデルの精度を高め、より複雑な文脈やニュアンスを理解させるためには、多様かつ大量のデータが不可欠です。人間の言語の微細な違いや、業界特有の表現を正確に理解するには、膨大なサンプルが求められます。特に、テキスト、画像、音声、動画といった、ビジネス活動で日々生成される多様な「非構造化データ」は、AIにとって貴重な学習資源となります。これらのデータを適切に処理・活用することで、より実用的で精度の高いAIシステムの構築が可能になるのです。企業独自のデータ活用が競争力になる汎用的なモデルに対し、自社が保有する独自のデータを追加学習させる「ファインチューニング」や、外部の最新データソースを参照する「RAG(Retrieval-Augmented Generation)」といった技術の重要性が高まっています。これにより、業界特有の専門用語を理解させたり、自社の製品情報に基づいた顧客対応を自動化したりと、企業独自の競争力に直結する成果が期待できます。汎用AIでは対応できない、自社固有のビジネス課題を解決する鍵となるのです。生成AIの「データを食わせる」段階で直面する3つの壁学習データを準備し、AIに供給するプロセスにおいて、多くの企業が共通して直面するインフラ上の課題があります。AI活用を成功させるには、まずこれらの壁を乗り越えることが必要です。壁1:爆発的に増え続ける「データ保管コスト」AIの学習データは、一度使って終わりではありません。モデルの再学習や精度検証、法規制への対応のためには、データの長期的な保管が必要です。ペタバイト級に達することも珍しくないこれらのデータを、従来のオンプレミスストレージや一般的なクラウドストレージで保管し続けると、月額数千万円から数億円のコストが発生して、経営を圧迫する大きな要因となります。特に、データ量の増加に比例して保管コストが急増する従来のストレージモデルでは、長期的な事業計画の策定は困難です。壁2:学習効率を落とす「データアクセス速度」大量のGPUが一斉に学習データを読み込む際、ストレージの読み出し速度(スループット)がボトルネックとなり、高価なGPUリソースを遊ばせてしまう「I/Oバウンド」と呼ばれる問題が発生しやすくなります。データの読み込み待ちにより、1台数百万円するGPUの稼働率が低下すると、学習時間の延長だけでなく大幅なコスト増加につながります。学習サイクルを高速化し、開発スピードを向上させるためには、大容量データを低遅延でGPUに供給できる高性能なストレージが不可欠です。壁3:データの散在が招く「管理の複雑化とセキュリティリスク」データが複数の部署のサーバーや、異なるクラウドサービスに点在している「データのサイロ化」も、AI活用における大きな障壁です。一元的なデータ管理ができないと、必要なデータを探すのに時間がかかったり、アクセス権の管理が煩雑になりセキュリティホールを生んだりするリスクがあります。また、データの重複や不整合が発生し、AI学習の品質低下や、予期せぬ学習結果を招く原因にもなります。生成AI時代に必須となるストレージ基盤の3つの条件上記の課題を乗り越え、AI活用を成功に導くために、これからのデータストレージに求められる要件を整理します。これらの条件を満たすストレージ基盤を選ぶことが、AI戦略の成否を左右します。条件1:ペタバイト級にも即応する「無限のスケーラビリティ」将来のデータ増加量を予測することなく、ビジネスの成長に応じてシームレスに容量を拡張できる能力が重要です。AI学習用のデータは、モデルの高度化とともに指数関数的に増加する傾向があります。この点で、物理的な制約が少なく柔軟にスケールアウトできるクラウドのオブジェクトストレージが、AIデータレイクの基盤として最適です。容量の上限を気にすることなく、必要に応じて即座に拡張できる環境が、継続的なAI開発を支える土台となります。条件2:コストと性能を両立する「経済合理性」従来の「高速だが高価なストレージ」と「安価だが低速なアーカイブストレージ」という階層化の考え方では、AI学習の「大容量データに頻繁かつ高速にアクセスしたい」というニーズに応えきれません。特に、データを読み出す際の転送料金(エグレス料金)が、AI学習のように繰り返しデータを読み出す用途では想定外の高コストにつながるケースがあります。月額数千万円の転送料金が発生し、プロジェクトの採算性を大きく損なう事例も報告されています。これからのストレージには、予測可能な低コストで、かつ高速なアクセス性能を提供する「費用対効果」の高さが強く求められます。条件3:データサイロを解消する「統合的データ管理機能」データの散在によるセキュリティリスクと管理の複雑化を解決するため、全社のデータを一元的に管理できる統合プラットフォームが必要です。部署ごとに異なるシステムでデータを管理している状況を解消し、データへのアクセス権限をきめ細かく制御できる機能が重要となります。また、データの来歴を追跡できるデータリネージュ機能や、自動的なデータ分類・タグ付け機能により、必要なデータを迅速に発見できる環境の構築が求められます。暗号化やアクセスログの管理といったセキュリティ機能も統合され、企業のガバナンス要件を満たしながら、AI開発チームがデータに安全かつ効率的にアクセスできる環境が理想的です。まとめ生成AIのビジネス活用が本格化する中で、その競争力の源泉は、AIモデルそのものだけでなく、その燃料となる「データ」をいかに効果的に管理・活用できるかにシフトしています。データセンター需要の高まりは、単なる計算リソースの需要増だけではなく、「データを保管し、供給する」ストレージの重要性が増していることの表れです。増え続けるデータを、低コストかつ高速に、そして安全に扱えるストレージ戦略こそが、企業のAI戦略、さらには事業成長の成否を分ける鍵となります。こうした要件を満たす最適なソリューションが、従来のクラウドストレージと比較して最大80%のコスト削減を実現したWasabi Hot Cloud Storageです。データ転送料やAPIリクエスト料金が一切かからない完全定額制により、AI学習で頻繁にデータアクセスが発生しても、予期しないコスト増加の心配はありません。Wasabiは多くの企業にとって、AI時代のデータ管理基盤として理想的な選択肢となるはずです。...
クラウドレプリケーションとは、同一または異なるストレージ領域にデータセットのコピーを複数作成して、維持することです。このプロセスを通して、多くのIT担当者がアプリケーションのパフォーマンスおよび稼働率の向上、災害復旧に役立てています。しかし、クラウドレプリケーションサービスには予期せぬ様々な料金が発生します。ストレージ容量の追加コストよりもはるかに高額なレプリケーションコストがかかることで、ビジネス開発の妨げや総所有コスト(TCO)の大幅な増加につながる恐れもあります。レプリケーションの種類かつてのレプリケーションは、フロッピーディスクをPCに挿入し、そこにファイルをドラッグするだけのシンプルなものでした。現在では、専用のソフトウェアを使用して、あるデバイスから別のデバイスにデータをコピーすることでレプリケーションが行われます。多くの場合、セキュリティと冗長性対策として、これら2つのデバイスは異なる場所に配置されます。また、異なる地域にあるクラウドデータセンター間でデータをコピーする、クラウド間レプリケーションも増化しています。なぜレプリケーションを行うのか? データレプリケーションは、なぜ必要なのでしょうか?クラウドデータレプリケーション戦略の背景には、以下のような要因が考えられます。事業継続性、セキュリティ、災害復旧(DR)-あるリージョンから別のリージョンにデータをレプリケーションすることで、自然災害やランサムウェアなどのサイバー攻撃が発生した場合のデータ損失リスクを軽減します。コスト削減、階層間の移行-レプリケーションにより、高コストのストレージから「コールド」ストレージなどをより低コストのストレージ層にデータを移行できるようになります。(ただし、このオプションは、必ずしも経済的メリットがあるとは限りません。)パフォーマンスに関する考慮-エンタープライズリソースプランニング(ERP)などのソリューションでは、特定のデータセットに関して、高いパフォーマンスを実現するための近接性を考慮する必要があります。例えば、クラウドベースの編集などのワークロードでは、クラウドでホストされているデータへの即時アクセスが不可欠であり、ユーザーとデータ間の距離が大きな違いを生みます。データ分析とAIワークロード-分析と人工知能は、運用データベースとは切り離し、分析・AIワークロード専用に設定されたデータリポジトリ(Snowflakeレプリケーションなど)にデータを複製するのが最適です。クラウドレプリケーションのコストを理解するレプリケーションにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。ヒントとして言えるのは、複製したデータのインスタンスを保存するためのコスト以外にも料金が発生するということです。Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)などのハイパースケーラーでは、2つめのコピーをネットワーク経由で転送する際に、1ギガバイトあたり約2セント(または1テラバイトあたり20ドル)の料金が請求されます。また、コピーするデータの量やコピー先のリージョンによっては、転送料金が複製データ自体のストレージ料金を上回る可能性があります。それだけではありません。レプリカを作成し、そのコピーを別のリージョンの別バケットに配置するたび、1,000オブジェクトごとにAPI PUTリクエスト料金が発生します。さらに、オブジェクトとファイルサイズは同じではないことも把握する必要があります。1ギガバイトのファイルを複製したとしても、クラウドプラットフォームがそれを2メガバイトのチャンク500個に分割し、それぞれに個別のPUT料金が必要になる場合もあり、あっという間に料金がかさんでしまいます。それに加えて、ハイパースケーラーの場合、別のリージョンへのレプリケーションを有効にするためにバージョン管理をオンにする必要があります。そのため、他の費用に加えて、たとえビジネスケースや保存要件がなくてもデータの古いバージョンをすべて保存し、料金を支払うことになります。Wasabiのシンプルかつコスト効率の高いレプリケーションWasabiのレプリケーションサービスは、ハイパースケーラーよりもシンプルなうえ、コスト効率に優れています。Wasabiを使用すると、レプリケーションを簡単に行うことができます。また、料金はストレージに対してのみ発生するため、データ転送料やAPIリクエスト料が不要で、レプリケーションのためにバージョン管理をオンにする必要もありません。Wasabiのストレージリージョンを活用することで、追加費用なしで世界中にデータを保存することができます。結論クラウドレプリケーションは、ビジネスの継続性、セキュリティ、パフォーマンス、可用性に欠かせない要素です。ただし、ハイパースケーラーの場合、データ転送、APIリクエスト、バージョン管理の料金が発生するため、レプリケーションのコストが予想よりも高くなる可能性があります。Wasabiはこれに対して、データ転送料やAPIリクエスト料、バージョン管理が不要で、費用対効果が高く、一貫した価格のソリューションを提供します。...
現代のビジネスにおいて、データは企業の生命線そのものです。顧客情報、財務データ、業務システムなど、あらゆる企業活動がデジタル化された今、データの損失は事業の存続に直結する深刻な問題となっています。特に近年は、ランサムウェア攻撃の巧妙化・大規模化に加え、人為的ミスによるデータ消失リスクも多様化・深刻化しています。とはいえ、単純にデータのバックアップを取るだけでは十分ではありません。確実な復旧を実現するためには「世代管理」という考え方が不可欠です。この記事では、バックアップの世代管理の基本概念から、具体的なバックアップ方式、さらに鉄壁のデータ保護戦略「3-2-1ルール」までを分かりやすく解説します。バックアップに「世代管理」が必要な理由企業がなぜバックアップの世代管理を行うべきなのか、その根本的な理由を詳しく見ていきましょう。世代管理の基本的な考え方世代管理とは、特定の時点のデータを複数世代にわたって保存し、いつでも希望する時点に復元できるようにする仕組みです。これは、単一のバックアップファイルを上書き保存していく従来の方法とは根本的に異なります。たとえば、日次バックアップを過去14日分、週次バックアップを過去4週分保持する、といった運用が一般的です。これにより「3日前の状態」「先週の金曜日の状態」「2週間前の状態」など、複数の復旧ポイントから選択できるようになります。世代管理が不可欠な3つの理由世代管理が必要とされる理由は、大きく分けて以下の3点です。ランサムウェア・ウイルス対策ランサムウェア攻撃を受けた場合、感染前の健全な状態に戻す必要があります。特に厄介なのは、気づかないうちにバックアップしたデータまですでに感染している可能性があることです。世代管理により、感染が発生する前の確実に安全な時点までさかのぼって復旧できます。人為的ミスのカバーファイルの誤削除や重要なデータの上書きミスに気づくのが数日後になっても、過去のデータにさかのぼって復旧できるメリットがあります。単一世代のバックアップでは、すでにミスが反映されてしまっている可能性があり、復旧が困難になります。柔軟なデータ復旧の実現「昨日」ではなく「先週の火曜日」の状態に戻したい、といった特定の時点への復旧ニーズに応えられる点が、世代管理の大きな強みです。この柔軟性により、さまざまな障害や要求に対応できる強固なデータ保護体制を構築できます。世代管理を実現する、バックアップの3つの種類世代管理を実践するための具体的なバックアップ手法について、それぞれのメリット・デメリットとあわせて詳しく解説します。フルバックアップ全てのデータを丸ごとバックアップする方式です。原本データの完全なコピーを作成するため、最も信頼性の高い手法と言えます。【メリット】復元がシンプルで速い単一のバックアップファイルから完全復旧が可能他のバックアップデータに依存しない独立性【デメリット】時間とストレージ容量を最も消費する大容量データの場合、実行時間が長くなる頻繁に実行するとコストが高くなる差分バックアップ前回のフルバックアップからの変更・追加分のみをバックアップする方式です。基準となるフルバックアップと組み合わせて使用します。【メリット】フルバックアップより高速で、容量も節約できる復元はフル+差分の2つのデータで済む比較的シンプルな復旧手順【デメリット】世代を重ねるごとに差分データのサイズが肥大化するフルバックアップの破損時に復旧不可能になる増分バックアップフルバックアップか差分バックアップかを問わず、前回のバックアップからの変更・追加分のみをバックアップする方式です。ストレージを最も効率的に利用できます。【メリット】バックアップ時間が最も短く、日々のストレージ消費量が最も少ない頻繁なバックアップが可能運用コストを大幅に削減できる【デメリット】復元時にはフルバックアップとすべての増分データが必要になり、手順が複雑で時間がかかるチェーン中の一つでも破損すると復元できないリスクがある管理が複雑で運用ミスが発生しやすい鉄壁のデータ保護戦略「3-2-1ルール」とは?バックアップ運用の世界的な標準となっている「3-2-1ルール」を、要素ごとに分解して分かりやすく解説します。「3」:データのコピーを合計3つ保持する原本(プライマリデータ)1つに加え、バックアップデータを2つ確保しておきます。これにより、一つのバックアップが破損しても、もう一つのバックアップで復旧できる冗長性を確保します。単一のバックアップに依存することのリスクを大幅に軽減できます。「2」:2種類の異なるメディア(媒体)に保存するバックアップデータは、内蔵ディスクと外付けHDD、NASとテープなど、異なる種類の複数の記録媒体に保存します。これにより、特定の媒体に障害が発生しても、他の媒体からデータ復旧が可能になります。「1」:そのうち1つはオフサイト(遠隔地)に保管する本社で火災や水害、盗難が発生してもデータを守るため、バックアップデータの1つは物理的に離れた場所に保管します。これは災害対策(DR)の観点からも非常に重要な要素です。オフサイト保管先としてはクラウドストレージが一般的です。クラウドストレージを活用したバックアップ戦略企業のバックアップ戦略において、クラウドストレージが優れている理由と、Wasabiクラウドストレージの特徴を解説します。クラウドストレージの利点クラウドストレージの最大の利点は、3-2-1ルールの「1(オフサイト保管)」を容易に実現できる点です。物理的な遠隔地への移送や保管場所の確保が不要となり、初期投資を大幅に抑えられます。さらに、データ量の増加に応じて容量を柔軟に拡張できるスケーラビリティや、テープやHDDなどの物理媒体の管理・保守が不要になる点など、運用面でも大きなメリットがあります。Wasabiが選ばれる理由Wasabiのクラウドストレージが持つ特徴の1つは、バックアップデータのリストア(取り出し)時に追加料金が発生しないことです。一般的なクラウドサービスでは、データの取り出し時に高額な料金が発生することが多く、緊急時の復旧コストが予想以上に高くなる場合がありました。Wasabiではこの心配がなく、トータルコストを抑えながら安心してデータを保護できます。また、高いパフォーマンスと信頼性により、大容量データの高速バックアップと迅速な復旧も実現します。これらは企業の業務継続性を維持するために不可欠な要素です。さらに、Wasabiのオブジェクトロックは設定した期間、データの変更・削除を一切できなくすることでランサムウェアによるバックアップデータの暗号化や削除を完全に防ぎます。従来のバックアップ手法では、攻撃者がバックアップシステムに侵入してデータを破壊する可能性がありました。しかしWasabiのオブジェクトロックは、この脅威を根本的に排除します。まとめ今回は、データ保護の要となるバックアップの「世代管理」について詳しく解説しました。現代の企業にとって、データ保護には世代管理が必須であり、フル、差分、増分バックアップを理解し適切に組み合わせることが重要です。さらに、データ保護の黄金律である「3-2-1ルール」を実践することで、あらゆるリスクに対応できる強固な保護体制を構築できます。高性能かつ低コストなWasabiのクラウドストレージを活用すれば、これらの高度なバックアップ戦略を誰でも実現できます。企業のデータを将来にわたって守り抜くためにも、今すぐバックアップ戦略の見直しを検討し、世代管理と3-2-1ルールに基づく包括的なデータ保護体制の構築に取り組みましょう。...