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イミュータブルストレージとは?種類と特徴、メリット・デメリットを解説します

Wed Feb 07 2024By 760b905e-7b5b-4354-b8a0-1ddf00e9ca2d

近年、ランサムウェア対策の効果的な手法として注目される「イミュータブルストレージ」。今回はその種類やメリット・デメリット、そして選び方までわかりやすく説明します。イミュータブルストレージの導入を検討している方はもちろん、データセキュリティ対策に頭を悩ませているセキュリティ担当者の方も、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

イミュータブルストレージとは?

イミュータブルストレージとは、大事なデータを改ざん、消失、漏洩などのリスクから保護する特殊なストレージシステムです。

そもそも「イミュータブル(immutable)」とは、「不変」または「変更不可能」を意味します。つまりイミュータブルストレージとは「データの変更が不可能なストレージ」のことです。一度書き込まれたデータの書き換えや削除は不可逆的に制限され、データを書き込んだ本人やシステム管理者であっても容易に変更できません。

イミュータブルストレージはオンプレハードウェアストレージの機能として実装されていたり、クラウドストレージサービスの付加機能として提供されています。金融機関、医療機関、政府機関など、高いデータセキュリティが求められる業界で大いに注目されています。

イミュータブルストレージとエアギャップ

データの保護手段として注目される別の技術が「エアギャップ」です。「エア(空気)」「ギャップ(間隔、隔たり)」という言葉通り、ネットワーク接続を介してアクセスできない物理的な隔離環境がデータへのアクセスを防ぎ、変更・削除を防止します。

イミュータブルストレージは技術的、エアギャップは物理的という違いはありますが、どちらも攻撃者からデータを守るという点では非常に効果的といえるでしょう。

とはいえ、両者にはそれぞれメリット・デメリットがあります。ここからは特にイミュータブルストレージのメリット・デメリットについて、エアギャップとの違いを引き合いに出しながら説明していきます。

イミュータブルストレージのメリット

イミュータブルストレージのメリットとして、ここでは4つの特徴を紹介します。

ランサムウェア対策として効果的

イミュータブルストレージ最大のメリットは、ランサムウェアなどの攻撃からデータを保護できることです。イミュータブルストレージに保存されたデータは、書き換えや削除ができません。そのため、ランサムウェアがデータを暗号化しても、イミュータブルストレージに保管された元のデータを取り戻すことができます。

一方、エアギャップもネットワーク攻撃からデータを保護する有効な手段ですが、ランサムウェアなどの内部攻撃には対応できません。

データの整合性が保たれる

イミュータブルストレージは、データの整合性を保つことができます。データの書き換えや削除ができないため、誤操作によるデータ損失を防ぐことができます。

エアギャップもデータの整合性を保つことができますが、イミュータブルストレージのように、データのバージョン管理などを行うことはできません。

監査証跡として利用しやすい

イミュータブルストレージは、法令や規則などの要件を遵守する必要がある組織にとって、非常に有効なツールです。イミュータブルストレージに保存されたデータは改ざんや削除ができないため、監査証跡として有効利用できます。

エアギャップもデータの改ざんや削除を防ぐことができますが、イミュータブルストレージのように、データの保存期間やアクセス権限などを細かく制御することはできません。

コスト効率が高い

イミュータブルストレージは、長期的な視点で見るとコスト効率が高いストレージです。初期費用は従来の一般的なストレージよりも高くなりますが、データ消失や改ざんのリスクが下がるため運用コストは大幅に抑えられます。

一方、エアギャップはイミュータブルストレージよりも初期費用が低額ですが、ネットワーク接続を介してアクセスできないため運用管理に手間とコストがかかります。

イミュータブルストレージ導入のデメリット

一方、イミュータブルストレージにもいくつかのデメリットが存在します。

データの更新が難しい

イミュータブルストレージはデータの書き換えや削除ができないため、データの更新が困難です。従来のストレージであればデータ更新は簡単ですが、イミュータブルストレージの場合、更新ではなく新しいデータとして保存する必要があります。

エアギャップもデータ更新が難しいという点では同じですが、イミュータブルストレージと異なり、物理的にアクセスできさえすればデータの書き換えや削除が可能です。

ストレージ容量

イミュータブルストレージにはデータの重複保存を抑制する機能がありますが、それでもデータ更新のたびに新しいデータが保存されるため、ストレージ容量が大きくなる点がデメリットです。

エアギャップもデータの重複保存が発生する可能性がありますが、データ更新のたびに新しいデータが保存されるわけではないため、イミュータブルストレージよりもストレージ容量を抑えることができます。

初期コストが高い

イミュータブルストレージは、特殊なハードウェアやソフトウェアを使用しています。このため従来のストレージと比較して、導入コストが高くなりがちです。

これに対しエアギャップは特別なハードウェアやソフトウェアを必要としないぶん、イミュータブルストレージよりも初期費用が低額です。ただし運用には手間がかかるため、一長一短といえるでしょう。

イミュータブルストレージの選び方

イミュータブルストレージの製品は、さまざまなベンダーから提供されています。ここでは、自社にとって最適なイミュータブルストレージを選ぶためのヒントを紹介します。

容量

容量はストレージ選びの基本です。イミュータブルストレージを選ぶ際も、長期的なデータ活用を視野に入れて余裕を持った容量を選ぶことが重要です。

パフォーマンス

ストレージのパフォーマンスは、特にデータアクセスの頻度や処理速度が重要な環境で重要です。読み書きの速度、レイテンシー、スループットなどのパフォーマンス指標を考慮し、ビジネスのニーズに合ったストレージを選択することが肝要です。イミュータブルストレージの場合、特に書き込み操作の効率性を検討することが重要です。

機能

イミュータブルストレージ製品の機能にも注目しましょう。データの不変性を保証する機能、セキュリティ機能、データのバックアップと復元のオプション、スケーラビリティなど、自社のビジネス要件に適した機能を持つストレージを選ぶことが重要です。

コスト

一般的に初期費用が高額とされるイミュータブルストレージですが、実際にどれくらいのコストがかかるかは製品やサービスによって異なります。もちろん初期費用だけでなく、運用コストやメンテナンスコストも重要です。長期的なデータ保存に伴うコストも見積もり、全体的なコスト効率を考慮するようにしましょう。

ベンダー

ベンダーの信頼性や実績、サポート体制も重要な要素です。すでに製品を利用しているユーザーの口コミなども参考にしながら、長期的なパートナーシップを築けるベンダーを選択しましょう。

Wasabiのクラウドストレージは、これまでDELLをはじめとする数々の大手企業に採用されてきました。イミュータブルストレージを検討されているセキュリティ担当者様は、追加費用なしで利用できる「Wasabi S3オブジェクトロック」の特徴をご確認ください。

まとめ

ランサムウェアの脅威が日増しに高まるなか、企業は自社のデータを守るため万全の対策を取る必要があります。Wasabi S3オブジェクトロックをはじめとするイミュータブルストレージは、そのためのベストソリューションのひとつです。ベンダーごとの特徴や強みを比較考慮して、自社にとって最適なイミュータブルストレージをご選択ください。

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本格化するハイブリッドクラウドストレージ:ITリーダーが知っておくべきポイント

企業インフラの近代化が進む中で、明確になったことが一つあります。それは、ハイブリッドクラウドストレージが単なる移行モデルではなく、戦略的に不可欠なものであるということです。Gartner®が発行したレポート“Hype Cycle™ for Storage Technologies” (2025年7月)では、ハイブリッドクラウドストレージはオンプレミス、エッジ、クラウドストレージを統合し、組織がさまざまな場所にまたがってデータを管理できるようにするものとされています。この環境を実現することで、複数の環境にわたって柔軟性、拡張性、コスト効率が向上し、シームレスなデータ移動、管理の改善、連携が促進されます。さらに、ファイル、ブロック、オブジェクトストレージのサポートや、ライフサイクル管理、同期、災害復旧のためのツールを得ることで、データのアクセス性、安全性、レジリエンスが保証されます。組織内のオンプレミス環境およびクラウド環境でストレージとインフラを最適化する方法を探している組織は、このレポートからタイムリーな洞察を得ることができます。組織のストレージ戦略を見直すのに、遅すぎることはありません。本ブログでは、その理由がわかる3つの重要なポイントをご紹介します。私たちは、クラウドストレージの近代化の取り組みにおいて、Wasabiが唯一無二かつ不可欠な要素であると考えています。1. ハイブリッド基盤として台頭するオブジェクトストレージ レポートで推奨されているオブジェクトストレージベンダーの条件は、柔軟性があり、総所有コストを削減できること、幅広い導入オプション(ソフトウェア版、パッケージ版、マネージドホスティング)とライセンスモデル(永久ライセンス、サブスクリプション)があることです。全体的に、企業は多様な環境にわたって非構造化データをより多く管理しています。オブジェクトストレージには拡張性、アクセス性、耐久性が備わっているため、大量のデータを保存し、クラウドでもオンプレミスでも標準化されたプロトコルを介してデータにアクセスすることができます。ポイント:Wasabiのクラウドは完全なオブジェクトベースでS3と互換性があり、ハイブリッド環境に最適です。昨今、ほとんどのアプリやプラットフォームはS3 APIをサポートしています。Wasabiでは、アプリおよびストレージ管理者がこれまで使っている形式を変えずにデータへ容易かつ迅速にアクセスし、長期保存するサポートを提供します。これは、データのバックアップ、メディアのアーカイブ、監視ビデオの保存などに役立ちます。2.コストの透明性を戦略的に優先ITリーダーが最も考慮すべき事項の一つとして、(特に環境間でデータを移動する場合の)予測不可能なクラウドコストが挙げられます。Gartner®は、「コスト効率も重要な推進力の一つです。DHIソリューションでは、実際の使用量に基づいて課金する消費ベースの価格設定モデルを採用することが多く、IT支出を最適化し、不要な支出を削減しています。」と述べています。ポイント:Wasabiでは、データアクセス料、下り転送料、その他のAPI料金が無料で、隠れたコストを排除します。コストの透明性が高いことは、データが頻繁に取得およびダウンロードされたり、複数の場所に複製されたりするハイブリッドアーキテクチャにとって特に重要です。Wasabiで必要な料金は使用したストレージ容量に対してのみであり、それ以上の課金は発生しません。3. 企業に必要なのは柔軟性を重視したストレージ“Hype...

OCX経由でWasabiをご利用いただけるようになりました!

2025/9/16にBBIX株式会社様・BBSakura Networks株式会社様連名にてプレスリリースが発表されましたが、クラウド型ネットワークサービスOpen Connectivity eXchange (以下、OCX)でWasabiへの閉域接続が可能となりました。通常閉域専用線サービスを利用してのWasabi接続の際には、通信キャリア提供の専用線サービスに加え、Wasabi Direct Connect (WDX)を別途ご購入いただく必要がありましたが、OCXの     XaaS Connection経由での接続の場合はWDX料金がOCXの利用料金に含まれていますので、OCXのご契約とWasabi容量のご契約のみでWasabiに閉域接続を実施いただくことが可能です。接続イメージOCX...

クラウド予算を抑えて医療ITコストを削減

現代の医療業界には、非常に大きなプレッシャーがかかっています。病院や医療機関では、人員不足や運用コストの上昇をはじめ、コンプライアンスの遵守、競争力の維持などに対応する必要があるほか、特にITの分野に関して、少ないリソースでより多くの成果を上げることが求められています。予算は限られていても、データの需要が尽きることはありません。医療データの保存は、このストレスを最も顕著に表しています。医療機関は、厳格なHIPAAコンプライアンス要件に基づき、患者データを何年も、場合によっては何十年も保持する必要があります。さらに、大量のデータを安全に保存するだけでなく、監査機関がいつでも確認できるように常にアクセス可能な状態で適切に保護することが求められます。ほぼ無限の拡張性と柔軟性を備えたクラウドコンピューティングが登場したことで、医療業界におけるデータストレージの課題は完全に解決したかのように思われました。しかし、クラウドストレージは便利でコンプライアンスにも対応している一方、隠れたコストがかかる傾向にあり、すぐさま新たな課題が発生することになりました。複雑な価格プラン、データへのアクセスやデータ取得にかかる料金、非アクティブなデータを長期保存するための継続的な費用など、予測できないコストに多くの病院が悩まされる可能性があります。「使用した分だけ支払う」というプランを選んだ場合でも、思いがけないコストが加算された請求書が届くこともあります。医療機関には、予期せぬコストがかからない状態でクラウドストレージ本来のメリットを得られる、よりスマートなアプローチが必要です。適切なクラウドストレージを選択することで、医療ITチームは使いやすいツールで予測可能なコスト管理、患者データの保護、ランサムウェア回避を実現することができます。医療業界のストレージ特有のニーズを把握する医療機関に必要なクラウドストレージをより深く理解するには、この業界に求められるストレージの複雑さを認識する必要があります。 以下の課題は、多くの場合、IT予算にも影響を及ぼします。 長期保存患者データは長期的に保持する必要があります。医療記録は、患者の治療計画に欠かせない要素です。X線やMRIスキャンなどの医療画像は品質と解像度が向上しており、健康上の問題を特定するのに非常に役立ちますが、これらのデータを保存するにはより大きなストレージ容量が求められます。  また、業界の規制により、病院や医療機関では患者の記録および画像データを最長20年間保管することが義務付けられる場合があります。実際、小児科の記録の中には、患者が30代になるまで保存しなければならないものもあります。規制で定められた期間データを保持しない場合、高額な罰金がかかる可能性があります。 バックアップ医療データは患者の治療を大きく左右するため、バックアップが不可欠です。必要に応じてバックアップデータを保持することで、コンプライアンスに対応することができます。また、組織が罰金を科されることなく監査を通過するのにも役立ちます。医療機関では、インシデント発生時にビデオ映像を確認できるように、監視データを定期的にバックアップする必要もあります。ビデオ映像の保持に関する規制は、医療における標準的なデータ保持義務とは異なる場合がありますが、他の規制と同様に重要であることは変わりありません。   予算オーバーになりがちな医療クラウドコストバックアップを含む長期のデータ保存は、医療機関のIT予算を大きく圧迫する要因のひとつです。それでも、ストレージが必要であることに変わりはありません。 2025年版Wasabi Cloud Storage Indexレポートでは、調査対象の医療機関のうち、2024年にクラウドストレージ予算が超過してしまった組織の割合は57%を占めました。予算オーバーになった理由は多岐にわたります。 データ運用料が予想を上回った(48%)実際のストレージ使用量と拡張率が予想を上回った(37%) クラウドプロバイダーによるストレージコストの値上げ(48%)  API呼び出し料(PUTおよびGET、読み込みおよび書き出し、復元)が予想よりも上回った(27%) データ取得料が予想よりも上回った(41%) データ削除料が予想よりも上回った(25%) 下り転送料が予想よりも上回った(26%) このデータから、大半の医療機関においてIT予算の予測と実際の支出が大きく乖離していたことがわかります。また、調査対象のうち、1/3の組織は、クラウドストレージへの支出が「予算を大幅に超過した」と報告しています。注目すべき点は、データのわずか19%のみが、1年に1回未満しかアクセスされない「コールド」データだったことです。つまり、残りの81%は頻繁に使用およびアクセスされるデータであるということです。 また、先述した予算オーバーの要因7つのうち、4つはデータアクセスに関連しています。これは、医療機関がデータを長期保持する必要がある一方で、時折または頻繁にデータにアクセスする必要があることを示しています。そして、データアクセスによる手数料はあっという間に増加する恐れがあります。 予期せぬ出費がIT予算以外にも大きな損害をもたらす可能性 クラウドストレージ料金は、医療業界に明らかな影響を及ぼしています。Cloud Storage Indexレポートでは、クラウドストレージのサブスクにかかった総額のうち追加料金が課された割合として、最も多かった回答は31~40%でした。これでは、2024年に多くの組織が予算オーバーになってしまったのも不思議ではありません。具体的には、どういった作業に対する料金が医療業界全体の予算を圧迫しているのでしょうか?これは、クラウドストレージで実行するさまざまなアクションひとつひとつに少額の料金が発生しているのです。そういったアクションの例には、以下のものが含まれます。GET-データの読み取りまたは取得 PUT-データの変更または修正APIリクエスト・API呼び出し-GET、PUT、その他の操作の総称。APIが操作を実行下り転送-保存場所からのデータ転送 クラウドストレージの基本料金に加えて、保存したデータへのアクセス、移動、変更、さらには削除など、何らかの操作を行うたびに料金が請求される可能性があるのです。こういった状態は、予算の超過にとどまらず、組織における業務の妨げとなることもあります。Cloud Storage Indexレポートレポートによると、下り転送およびアクセス料金が加算されたことでIT業務やビジネスに遅延・悪影響が及んだとした回答者は53%を占めました。  追加料金が発生する場合、組織内でバックアップテストや検証を行う頻度が減る可能性があります。また、サイバーレジリエンス向上に役立つイミュータブル機能を取り入れない組織が出てくるかもしれません。さらに、分析やAIイニシアチブに向けたデータ取得が延期される場合もあります。より適切なプラットフォームに移行せずに、必要な機能を提供しない場所にデータを保存し続けることで、さらに料金が発生することも考えられます。...