Wasabi
Wasabiが提供するMUA (Multi-User Authentication)マルチユーザー認証について解説
2017年のこと、とあるハッカーが盗んだAWSのログイン認証情報を使い、以前の雇用主の顧客に関連する23のアカウントを削除しました。その結果、同社は多くの顧客との契約を失いました。警察によると、アカウント削除による損失は推定で約70万ドルに上るそうです。 同社は削除されたデータを復元することはできませんでした。
2021年には、ニューヨークを拠点とする銀行の元従業員は、解雇された2日後、同行のアカウントにログインし、ランサムウェア対策ソフトをバイパスして、アカウントとローン住宅ローン申請に関連する何万ものファイルやディレクトリを削除しました。
実際、企業がクラウド・ストレージ・ソリューションを検討する際、セキュリティは依然として大きなネックとなっています。Wasabiが2023年に行ったクラウドストレージに関するアンケート調査によると、回答者の多くがネイティブのバックアップ、ディザスタリカバリ、データ保護ツールがないこと、ネイティブのセキュリティサービスがないことがクラウドストレージの最大の懸念事項であると述べています。
イミュータビリティ(不変性): 人からデータを守る
「うちは大丈夫、イミュータブルバケットやオブジェクトロックを使ったオフサイトバックアップを使っている」とおっしゃる方もいるでしょう。実際、イミュータブルバケットとオブジェクトロックは、貴社のアカウントにアクセスした悪者が、貴社のデータを暗号化、改ざん、削除するのを防ぎます。これはランサムウェアの連鎖の中で最も重要なステップです。攻撃者は多くの場合、まずバックアップを削除し、そこから復元できないようにします。しかし、データが暗号化、改ざん、削除されなければ、復元することができます。身代金を要求されることはありません。不変性はデータにとっては素晴らしい盾ですが、セキュリティシステムの最大の弱点である「人間」から守ることはできません。もし、あなたのイミュータブルバックアップを保管しているクラウドアカウントの鍵をハッカーや退職者が持っていたらどうなるでしょうか?
上に示したように、悪意のある攻撃は外部からだけでなく、組織内部からも来る可能性があります。精通したインサイダーは、AWS サポートスタッフからユーザー名とメールアドレスをソーシャルエンジニアリングすることができます。彼らはパスワードを知っているか、AWSルートの登録メールアカウントのメールを傍受することができるか、AWSサポート経由でこのステップをソーシャルエンジニアリングすることができるのです。
多要素認証(MFA)では不十分?
多要素認証は、セキュリティにおける人的要素に対するもう一つの防御線です。しかし、ここでもやはり、内部者が優位に立つ可能性があります。アカウント保有者として、悪者はルート・アカウントに関連するMFAデバイスを所有しているかもしれませんし、内部サポート・システムへのアクセスを通じてソーシャル・エンジニアリングでこのステップを回避できるかもしれません。MFAは部外者の侵入を防ぐには優れていますが、内部からの攻撃にはまだ脆弱と言えるでしょう。
マルチユーザー認証(MUA)の重要性
データの第三の防御策は、マルチユーザー認証です。Wasabiの独創的なマルチユーザー認証は、核ミサイルの発射プロトコルに似たコンセプトを採用しています。WasabiのMUAでは、Wasabiユーザーは、アカウント削除を確認する必要がある個人を最大3人まで指定することができます。指定された個人のいずれかが削除を拒否した場合、削除プロセスは自動的にキャンセルされます。ハッカーであれ、不正な従業員であれ、不注意な管理者であれ、ひとりでアカウントが削除できる権限を持つ人はいません。
これは、クラウドアカウントのセキュリティの世界では革命的なことです。このようなセキュリティ機能を提供するクラウドストレージプロバイダーは、現時点でWasabiのみです。
たとえ誰かがルートアカウントの認証情報を保持していたとしても、アカウントを完全に削除する能力を保持していれば、ユーザーのデータは完全に消去されてしまいます。純粋にセキュアな設定では、この重大な脆弱性は、すべての主要クラウドベンダーのオブジェクトロック実装に存在します。そのため、Wasabiの新しいマルチユーザー認証は、Wasabiのお客様のアカウントセキュリティに革命をもたらす、画期的な機能なのです。つまりは、冒頭の例に登場した企業がWasabiのようなMUA機能を備えたクラウドストレージプロバイダーを利用していれば、重要なアカウントを削除されずに済んだわけです。
シナリオを振り返ってみましょう
さて、冒頭のハッカーによる攻撃の例を振り返って、もしこの企業が旧来のアカウント削除機能ではなくWasabiのマルチユーザー認証機能を使っていると考えてみてください。
ハッカーがお客様のWasabiルートユーザー認証情報にアクセスします。
ハッカーはWasabiに保存されたデータを削除を試みますが、データが不変であるため削除できないことに気づきます。
そして、Wasabiアカウントとすべてのデータを削除することに決めます。
Wasabiのマルチユーザー認証機能では、最大3人のセキュリティ担当者が削除を承認する必要があるため、セキュリティ担当者が削除要求を拒否した場合、アカウントは削除されません。
通知機能により、お客様のセキュリティ担当者は、社内およびWasabiサポートにアラートを通知することができます。
ランサムウェア攻撃は再び増加傾向
何年か減少していたランサムウェア攻撃ですが、2023年になって再び増加傾向にあります。
バックアップは、ランサムウェアに対する最も重要な防御策のひとつですが、適切に設定されていなければ、防御に穴が開いてしまうかもしれません。悪名高いランサムウェア集団、DroppelPaymerのメンバーが最近インタビュアーに以下の様にコメントしました。
「クラウドバックアップはランサム攻撃に対して非常に良いオプションですが、クラウドバックアップの設定が甘い場合もあり、オフラインバックアップが古いこともあるため、100%保護することはできていません。システムバックアップは大変良いですが、人的要因に抜け穴があります。」
貴社のデータとアカウントを保護するために、以下の手順に従ってください:
多要素認証(MFA)を有効にします。
できる限り、コンプライアンスをデフォルトとしたイミュータブル機能を使用します。
ユーザー権限を制限します。ルートアカウントの認証情報は絶対に共有しないでください。
パスワードは定期的に更新します。
追加アカウントセキュリティ設定として、Wasabiのマルチユーザー認証を有効にします。
(Wasabiは、in-flightおよびat-restのすべてのデータを暗号化します。Wasabiのデフォルトキーを使用するか、S3 APIの一部として独自のキーを提供することができます。よって、 Wasabiのお客様がご自身で暗号化を行う必要はありません)
Wasabiのマルチユーザー認証機能は、アカウントセキュリティの世界において革命的です。また、Wasabiはユニークなセキュリティー機能を提供した最初のクラウド ストレージ プロバイダーです。もし、WasabiのMUA機能がアカウント削除の被害に遭われた方々に利用されていたなら、彼らのデータは現在も利用可能だったことでしょう。
電子帳簿保存法の改正により、多くの企業で電子取引データの保存対応が進められています。しかし、単にデータを保存するだけでは不十分です。最も重要なのは、国税関係書類としての証拠能力を保つための「真実性の確保(改ざん防止措置)」です。本記事では、法的リスクを回避し、確実なデータ保存を実現するための鍵となる「オブジェクトロック(データ不変性)」機能と、その有効性について解説します。電子帳簿保存法における「データ保存」の重要要件電子帳簿保存法では、電子取引データを保存する際に「真実性の確保」と「可視性の確保」という2つの要件を満たす必要があります。真実性の確保…保存されたデータが改ざんされていないことを担保する措置を講じること可視性の確保…保存データを検索・表示できる環境を整えること特に「真実性の確保」における「改ざん防止措置」は、企業のコンプライアンス上、最もハードルが高く重要な要件と言えます。なぜなら、検索要件はツールで比較的容易に解決できますが、データの真正性を長期間にわたり保証することは、一般的なファイルサーバーやストレージでは難しいからです。もしシステム選びを間違え、これらの要件を満たせない状態で運用を続けた場合、青色申告の承認取り消しや追徴課税といった重大なリスクを負うことになります。なぜ「バックアップ」だけでは不十分なのか?電子取引データの保存において、単純なバックアップでは法的要件を満たせない場合があります。その理由を確認していきましょう。通常のクラウドストレージやサーバーのリスク一般的なクラウドストレージやファイルサーバーでは、管理者権限を持つユーザーであればデータの「上書き」や「削除」が容易に行えてしまいます。これは運用上の利便性がある反面、税務調査の際に大きな問題となり得ます。税務調査では「後から改ざんしていないこと」を証明する必要がありますが、通常のストレージ環境ではその証明が困難です。事務処理規程を整備して運用で対応する方法もありますが、人為的なミスや悪意ある操作を完全に防ぐことには限界があります。担当者の異動や退職時の引き継ぎ漏れなども考慮すると、運用だけに頼る体制は脆弱といわざるを得ません。結果として、データの信頼性が疑われるリスクが残り続けることになります。求められるのは「訂正削除ができない」システム電子帳簿保存法の要件を確実に満たすためには、運用ルールに依存するのではなく、システム側で物理的にデータの変更を不可能にする仕組みが望ましいといえます。「訂正・削除ができない」または「訂正・削除の履歴が残る」システムを導入することで、真実性の確保を技術的に担保できます。これにより法対応の確実性が格段に高まり、税務調査時にも客観的な証拠として提示することが可能になります。改ざん防止の切り札「オブジェクトロック機能」とはデータの改ざん防止を実現する有力な手段として、オブジェクトロック機能が注目されています。データを「不変」にするイミュータブルストレージオブジェクトロックとは、WORM(Write Once Read Many)と呼ばれる技術に基づく機能です。「一度書き込んだら、何度でも読み取れるが変更はできない」という仕組みで、一度保存されたデータは指定した保持期間中、たとえシステム管理者であっても変更・削除することができません。このイミュータブル(不変)な状態を保つことで、データの真正性を技術的に証明できます。オブジェクトロックはAmazon S3、Azure Storage、Google Cloud Storageなど主要なクラウドサービスでも採用されており、金融機関などの規制対象業界でも広く活用されている信頼性の高い技術です。ランサムウェア対策としての側面オブジェクトロック機能は、電子帳簿保存法対応だけでなく、サイバーセキュリティの観点からも有効です。近年のランサムウェア攻撃では、プライマリデータだけでなくバックアップデータも含めて暗号化されるケースが増えています。しかし、オブジェクトロックで保護されたデータは暗号化や削除ができないため、攻撃による被害を防ぐことができます。法対応とBCP対策を同時に実現できる点が、オブジェクトロック機能の大きなメリットです。Wasabiが電子帳簿保存法の「真実性」確保に役立つ理由クラウドストレージサービス「Wasabi」は、電子帳簿保存法対応において有効な選択肢のひとつとなります。タイムスタンプ付与に代わる有効な手段電子帳簿保存法における「真実性の確保」では、「タイムスタンプの付与」が代表的な手法として知られています。しかし、タイムスタンプには受領後速やかに(最長で約2か月と7営業日以内に)付与しなければならないという入力期間の制限があり、日々の運用負荷が高くなりがちです。一方、法令上は「訂正・削除の履歴が残る、または訂正・削除ができないシステム」を利用することで、タイムスタンプ要件に代えることが認められています。Wasabiのオブジェクトロック機能は、まさにこの「訂正・削除ができない」という要件を技術的に満たすことができ、担当者をタイムスタンプ運用の煩雑さから解放します。事務処理規程の運用負荷を軽減事務処理規程による対応では、規程の策定・周知・遵守状況の管理など、経理担当者に大きな負担がかかります。また、規程が適切に運用されているかを継続的に確認する必要もあります。しかし、Wasabiのオブジェクトロックのようにシステム的に改ざんが不可能であれば、厳格な運用ルールへの依存度を下げることが可能です。規程違反のリスクを低減しながら、担当者の心理的・実務的負担を軽減できる点は、中長期的な業務効率化に大きく貢献します。コンプライアンス強化とコスト適正化の両立法的に堅牢なシステムを構築しようとすると、一般的にコストが肥大化しがちです。しかし、Wasabiは業界最安値水準の料金体系を採用しており、オブジェクトロック機能も追加料金なしで標準利用できます。データ転送料やAPIリクエスト料金も不要で、保存容量に応じたシンプルな課金体系のため、コストを予測しやすいのが特長です。電子帳簿保存法では、取引データを法定保存期間である7年間(繰越欠損金がある場合は10年間)保存する必要があります。長期間にわたる保存を無理なく継続するためには、コストの適正化は重要な経営判断となります。コンプライアンスを確保しながらコストを抑制できるWasabiは、持続可能な法対応を実現する有力な選択肢です。まとめ電子帳簿保存法対応の本質は、単なるデータ保存ではなく「改ざん防止(真実性の確保)」にあります。しかし、通常のバックアップでこれを満たすことは困難です。さらに一方進んで、システム的にデータの訂正・削除を防ぐ仕組みが求められます。Wasabiのオブジェクトロック機能を活用すれば、複雑なシステム構築やタイムスタンプ運用なしに法的要件をクリアできます。「法対応」と「データ保護」を同時に実現し、コスト面でも優れたWasabiの導入をぜひご検討ください。...
AIや自動化ワークフローがビジネスにもたらすメリットを求めて競い合う「AIのゴールドラッシュ」の時代が到来しています。テクノロジーからできるだけ多くの価値を得るべく、企業はGPU、高価なモデルライセンス、派手なツールに多額の資金を投じています。しかし、コンピューティングに重点を置くあまり、多くの企業がAI競争に潜む隠れたコストを見落としています。AIモデルは、学習や推論を実行する段階で大量の非構造化データを必要とします。クラウドはこうしたデータの保存に適していますが、データの移動や管理によって想定外に高額なクラウド料金が発生する場合があります。AIは未来そのものであり、企業はデータにアクセスして処理し、重要な洞察と価値を引き出せるようになる必要があります。組織内でAIの目標を達成するには、AI向けクラウドコストの最適化が必須です。データ量の多いAIワークロードでは、ストレージに費用を支払いすぎている可能性が高いAIはデータを大量消費することで知られています。現在広く使われているLLMは、公開されているインターネットから情報を収集し、それを抽出・凝縮する学習を通して、質問に答えたり推論を行ったりするAIモデルです。組織がAIパイプラインを開発する際、生成AI、マルチモーダルなワークフロー、RAGアーキテクチャは、真の価値を提供するために膨大な量のデータにアクセスする必要があります。さらに悪いことに、このデータの大半を非構造化データが占めています。外部データと組織内の知見や知的財産が組み合わさることで、競争優位を生み出されます。このデータへのアクセスは、AIライフサイクルのあらゆる段階で欠かせない要素です。AIモデルは大量のデータを取り込み、それを学習してモデルの重みに圧縮します。AIシステムの日常的な使用中にモデルのバージョン管理や推論を実行するためにも、モデルの重みやデータソースへのアクセスを必ず行う必要があります。多くの場合、企業のAI予算はコンピューティングを重視し、学習や推論を高速かつ十分な容量で実行できることを条件としています。しかし、大規模なデータセットへ一貫した高性能なアクセスが求められることで、AIのコストが劇的に増加し、予算が枯渇する可能性があります。見落とされがちな隠れたコストAIワークロードのなかでも分かりやすいコストとしては、GPUへの投資、モデルのライセンス、ツール、AIデータセットの基本ストレージコストなどが挙げられます。しかし、AIソリューションのデータ保存と管理に関連する隠れた料金については、多くの企業が気づいていません。ここでは、その主な要因を詳しく掘り下げます。頻繁なデータ移動マルチクラウド環境では、用途ごとに最適なソリューションを選択するため、ストレージとコンピューティングが同じ場所に配置されないことがよくあります。その結果、データレイク、アーカイブ、GPUクラスター間でデータが移動するたびに高額な下り転送料が発生する場合があります。下り転送料とAPI料金AIシステムは、特に学習や推論を実行する際にデータを必要とします。下り転送やAPIリクエストに課金するストレージプロバイダーを利用していた場合、これらの料金は急速に積み重なり、予期せぬ大きな負担となります。過剰なストレージ使用AIデータは非構造化されていることが多く、組織が保有するデータの内容と保存場所を把握しづらい状態にあります。その結果、データの重複コピーが生まれ、不要なストレージ使用と料金が発生します。非効率的なメタデータ構造化データと効率的なメタデータが不足していると、クラウドストレージ内で必要なデータを探しにくくなります。その結果、AIシステムは全量スキャンや過剰なデータ取得を強いられ、追加のアクセス料金が発生するとともに、AIワークフロー全体の効率が低下します。こういった隠れコストの多くは、AI対応ワークフローのコア機能に直結しているものの、予測や管理が難しい傾向にあります。そのため、気づかないうちにAI予算が圧迫され、支出超過に陥ったり、AI戦略のなかで別の要素を削減をせざるを得なくなったりする可能性があります。AIストレージを再考する:シンプル、予測可能、パフォーマンス重視AIの隠れコストを管理するには、コンピューティングと同じレベルの戦略的な考え方をデータストレージ設計にも適用する必要があります。AIストレージのコストを管理するためのベストプラクティスには、以下のようなものがあります。シンプルかつホットなストレージ:AIシステムを利用する際、どのようなデータにどのくらいの頻度でアクセスする必要があるかを正確に予測するのは困難です。高性能で常に利用可能なホットストレージにAIデータを置くことで、予期しないアクセスパターンによる潜在的な取得遅延や、予想外のコスト増加を回避できます。定額課金:データへのアクセスやストレージ環境およびコンピューティング環境間のデータ移動に料金が発生し、API料や下り転送料がAIコスト超過の主な要因となる場合があります。定額課金モデルのクラウドストレージを利用すれば、予測可能性が高まり、知らないうちにクラウドコストが上がってしまう状態を防げます。不変のストレージ:AIモデルは、入力データ・重み・来歴情報・監査記録などの高価値データに依存していますが、これらはランサムウェアの格好の標的になります。イミュータブルストレージを利用することで、悪意ある変更のリスクを排除し、データを保護します。メタデータのインデックス作成と検索性:AIデータの大部分は非構造化データであるため、学習や推論に必要な情報を見つけるのが困難な場合があります。インテリジェントなメタデータインデックス化を行うことで、必要なデータを迅速に特定し、重複アクセスやデータ探索に伴うコストを削減します。多くの企業はクラウドコストが正確に予測できておらず、AIストレージのコストが超過しています。ストレージ設計を賢く実装すると、隠れた料金を回避できるだけでなく、より効率的なデータアクセスによってAIワークロードの運用効率を高めることもできます。よりスマートなAIストレージが収益にもたらす影響コスト効率の高いAIストレージを知的かつ意図的に設計することで、AI投資のビジネス効果を最大化することができます。AIストレージに重点を置く実務的なメリットとして、以下のような点が挙げられます。キャッシュフローの明確化API使用料やデータ下り転送料などの隠れた予測不可能な料金によってAIコストが圧迫されることは珍しくありません。AIシステムは、多数の小さなデータに対して頻繁にアクセスします。最適化されたAIデータストレージにより、企業はAIストレージへの支出をより正確に予測できるようになります。 運用効率構造化・インデックス化されていないデータは、データの検出を遅らせ、重複アクセスを引き起こします。データの保存場所が曖昧な場合、すべてのデータをダウンロードしてシステム内を検索する必要がありますが、この方法では時間もアクセス料金も発生します。メタデータをインデックス化することで、AIツールで必要なデータをより迅速に特定することができるようになり、反復処理が高速化し、エンジニアの生産性が向上します。戦略的なレジリエンスイミュータブルかつインデックス化されたストレージは、不正な変更からデータを守り、データアクセスを簡素化します。これがなければ、ランサムウェアへの脆弱性が高まり、規制遵守、監査、AIモデルの再トレーニングに必要なデータを見つけられない恐れがあります。まとめAI導入は競争となっており、明確な勝者と敗者が存在します。一部の企業は、GPUをアップグレードしてコンピューティングに投資することで「ゴールドラッシュ」の波に乗り、より高速なデータ処理を活用して優位性を獲得しています。一方、ストレージ戦略が原因で気づかないうちにアクセスやデータ取得料金が超過し、足を引っ張られる企業もあります。AI戦略を設計またはレビューする際には、データの移動、料金体系、メタデータ設計などのストレージワークフローを確認し、潜在的な非効率性や隠れたコストを見つけることが重要です。その際、ストレージ層がビジネスに価値をもたらしているか、AI戦略の他の要素からリソースを奪っていないかを確認する必要もあります。...
DX推進に伴いクラウド利用が拡大する中、想定外の請求額に頭を抱える「クラウド破産」のリスクが高まっています。単なる節約ではなく、投資対効果を最大化する経営戦略として注目されるのが「FinOps(フィンオプス)」です。本記事では、FinOpsの基礎知識や実践フレームワークを解説するとともに、FinOpsの天敵である「予測不能な変動コスト(データの下り転送料金など)」を排除し、コスト最適化を実現する方法について提案します。FinOps(フィンオプス)とは?言葉の意味と定義まずは、FinOpsという言葉が持つ本来の意味と、よくある誤解について整理しましょう。定義と語源FinOpsとは、「Finance(財務)」と「DevOps(開発・運用)」を組み合わせた造語です。これは特定のツールやシステムを指すものではありません。クラウドの財務管理に対し、IT(エンジニア)、財務、ビジネスの各部門が垣根を超えて協力し、データに基づいた意思決定を行うための「規律」もしくは「文化的慣行」のことです。従来、クラウドコストは財務部門が管理するもの、あるいはIT部門が技術的に処理するものとして分断されがちでした。FinOpsは、全員がコストに対する説明責任を持ち、組織全体で最適化に取り組む体制を目指します。コスト削減との違いFinOpsについて最も多い誤解は、「クラウド費用を安くすること(コスト削減)が目的」というものです。もちろん結果として無駄は削減されますが、FinOpsの本質は「クラウド支出から最大のビジネス価値を引き出すこと」にあります。例えば、ビジネスの成長スピードを加速させるためにあえてコストを増やす判断が必要な場面もあります。単に予算を削ってイノベーションを阻害するのではなく、効率的な投資を行い、事業収益(リターン)を最大化する「攻めのコスト管理」こそがFinOpsの真髄です。なぜ今、FinOpsが求められているのかなぜ今、多くの企業がFinOpsに注目し、導入を急いでいるのでしょうか。その背景には、クラウド特有の事情と組織的な課題があります。クラウド支出の増大総務省の「令和6年 通信利用動向調査報告書(企業編)」によると、クラウドサービスを利用する国内企業は全体の80.4%に上ります。これに伴い、クラウド関連のインフラ支出は、多くの企業にとって負担となりつつあるのが実情です。こうした状況を放置すれば企業の利益が圧迫され、経営課題にも直結しかねないため、早急な対策が求められているのです。ITと財務のサイロ化(分断)従来の組織構造では、IT部門と財務部門の間に溝がありました。エンジニアは「開発スピードと品質」を最優先KPIとし、財務部門は「予算遵守とコスト削減」を重視するため、両者の利害はしばしば対立します。しかし、従量課金制のクラウドでは、エンジニアがコードを書き、リソースを起動したその瞬間にコストが発生します。従来の予算管理だけではこのスピードに対応できないため、部門横断的な連携が不可欠です。FinOps実践のための3つのフェーズFinOpsを組織に導入し、定着させるためには、The FinOps Foundationが提唱する3つのフェーズを反復することが有効です。フェーズ1:Inform(可視化)フェーズ2:Optimize(最適化)フェーズ3:Operate(運用)フェーズ1:Inform(可視化)最初のステップは現状把握です。「誰が、何に、いくら使っているか」をリアルタイムで可視化します。クラウドの請求書は複雑で、そのままではどのプロジェクトがコストを消費しているか判別しにくい場合があります。そこで、リソースにタグ付けを行い、コストを各部門やプロジェクトに正確に配賦(アロケーション)します。これにより、各チームに「自分たちの使ったコスト」としての当事者意識が芽生え、自律的な管理への土台が築かれます。フェーズ2:Optimize(最適化)可視化されたデータに基づき、無駄を省いて効率を高めるフェーズです。具体的には以下のようなアクションが含まれます。使用されていないリソースの削除や、開発環境の夜間停止などを行う過剰なスペックのインスタンスを、適切なサイズに変更するリザーブドインスタンス(RI)や、コミットメントベースの割引(確約利用割引)などを活用するフェーズ3:Operate(運用)最適化を一過性のイベントで終わらせず、継続的なプロセスとして定着させるフェーズです。予算超過を検知するアラート設定や、ポリシー違反のリソース作成を制限するガードレールの設置など、自動化ツールを活用してガバナンスを効かせます。加えて、定期的なレビュー会議を開催し、ビジネス目標とクラウド活用が整合しているかを常に評価し続ける体制も作ります。FinOpsを阻む「予測不能なコスト」の正体FinOpsのフレームワークは強力ですが、実践する中で多くのCTOが突き当たる壁があります。それは、どれだけ管理しても排除しきれない「予測不能なコスト」の存在です。どれだけ最適化しても残る「変動費」のリスクフェーズ2(最適化)でインスタンスを予約購入し、ベースとなるコンピューティング料金を固定費化したとします。しかし、クラウドコストには完全な固定化が困難な「従量課金要素」が残ります。その代表格が、データ転送料(Egress料金)やAPIリクエスト料金です。これらはサービスのアクセス数やユーザーの利用状況に比例して発生するため、事前に正確に見積もることが非常に困難です。キャンペーンでアクセスが急増した月や、バックアップからのリストアが必要になった際に、これらの料金が青天井で膨れ上がり、予算を崩壊させることがあります。予実管理を難しくする「見えないコスト」FinOpsの核心の一つは、将来の支出を予測(Forecast)し、計画的な投資を行うことにあります。しかし、複雑な課金体系に起因する予測不能な追加コストは、正確な予算策定を妨げます。「見えないコスト」への不安があると、財務部門はバッファを多く積まざるを得ず、攻めの投資判断が鈍ります。また、毎月のように発生する「想定外の請求」の原因究明に追われ、FinOpsサイクルの「Inform(可視化)」と「Optimize(最適化)」の精度と信頼性が著しく低下してしまいます。変動コストを排除し、FinOpsを成功させるインフラ選定Wasabi Hot Cloud Storageのように「下り転送料金やAPIリクエスト料金がかからないサービス」を採用して、ストレージコストを固定化することは、FinOpsを成功させるうえで有効な戦略のひとつです。複雑な変動要素を排除すれば、コスト構造がシンプルになり、可視化や将来予測(Forecasting)が容易になります。その結果、IT部門と財務部門は「想定外の請求」について議論する時間を減らし、どこに投資すべきか、どの施策が事業価値を生むかといった本質的なテーマに集中しやすくなります。まとめFinOpsは単なるコスト削減ではなく、ITと財務が連携し、クラウド費用を「攻めの投資」に変えるための重要な仕組みです。その成功の鍵は、継続的な改善と、計画を狂わせる「予測不能なコスト」の排除にあります。管理工数をかけずに予実精度を高めるには、インフラ選定の段階で変動要素を取り除くことが最も賢明な近道です。予測可能なコスト構造を持つWasabiは、持続可能なFinOpsを実現し、企業のビジネス成長を支える強力な基盤となるでしょう。...
